読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

読書 作家別な行

“文学少女”と穢名の天使(アンジュ) 野村美月著 ファミ通文庫 2007年

“文学少女”シリーズ4冊目。 ネタばれあります、すみません; 琴吹ななせの親友・水戸夕歌が行方不明になった。白藤音楽大学附属高校に通う彼女は、プロのオペラ歌手目指していたらしい。夕歌曰く“音楽の天使”の手ほどきを受け、見違えるように上達していた…

『秘密の花園』ノート 梨木香歩著 岩波ブックレット№773 2010年

誰からも愛されることなく、「ひねくれて」育ったメアリは、荒涼としたムアに建つ屋敷で、うち捨てられた「庭」に出会った。彼女は、従兄弟のコリン、友人のディコンとともにその「庭」を美しい「花園」へと甦らせていく……。 作家梨木香歩が、「庭」とともに…

“文学少女”と繋がれた愚者(フール) 野村美月著 ファミ通文庫 2007年

『文学少女』シリーズ三冊目。 ネタばれになってます、すみません; ある日、遠子先輩が借りて来た図書館の本は、クライマックス部分が切り裂かれページが欠けていた。犯人を突き止めると息巻く遠子先輩、「ぼく」井上心葉はクラスメイトの芥川一詩が図書館…

さびしい女神~僕僕先生 仁木英之著 新潮社 2010年

僕僕先生、シリーズ4作目。久々の長編。 ネタばれになってます、すみません; 僕僕一行は船に乗って南海に面した武安州へ。前回旅の仲間になった蚕嬢、引飛虎、推飛虎の生まれ故郷でもある。 蚕嬢の本名は碧水晶、峰西の峰麓王・藍地銀の娘で、六合峰の神に…

ノスタルジア 埜田杳著 角川文庫 2009年

第二回野生時代青春文学大賞受賞作品。 中編一本、短編二本収録。 些末なおもいで この頃、僕は眠れない夜の底にいる。 夜中、結露した窓を開けると、そこに隣のクラスの矢鳴恭己が歩いていた。深夜、深海魚のように町中を徘徊する矢鳴。知り合ったのも束の…

高原王記 仁木英之著 幻冬舎 2010年

ええと、このお話を気に入ってらっしゃる方は、この感想文を読まない方がいいかと思います; ネタばれになってるかな、すみません; 大河ブラマが横切る広大なセイトゥオ高原。数々の急峻が聳えるこの地では、妖魔と人間との戦いが続いていた。「英雄」と呼…

死者は黄泉が得る 西澤保彦著 講談社ノベルス 1997年

お久しぶりの西澤保彦作品。 ネタばれになってるかな、すみません; その屋敷には死者が住んでいた。訪れて来た人物を次々に殺し、SUBRE(サブレ)に放り込んで“蘇生”させ、MESS(メス)にかけて、そこで暮らしていくのに必要な分だけの知識以外は白紙にする…

ロスト・トレイン 中村弦著 新潮社 2009年

中村弦、デビュー二作目。 ネタばれしてます、出たばかりの本ですみません; 奥多摩湖小河内線の廃線跡のハイキングコースで、「ぼく」牧村は平間要一郎さんと出会った。親子以上に歳の離れた平間さんは鉄道マニアで、定年退職後悠々自適の生活を送っている…

千里伝 五嶽真形図  仁木英之著  講談社  2009年

仁木英之が描く中華英雄譚。 多分ネタばれしてます、すみません; かつて世界には何もなかった。 老君は無から有を生み出し、西王母は天地を創造し、秘宝“五嶽真形図”が万物をつなぎとめた。 人は種の争いを勝ち抜き、天地での繁栄を許されたが、“五嶽真形図…

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト) 野村美月著 ファミ通文庫 2006年

“文学少女”シリーズ二作目。 ネタばれになってるかも、すみません; 井上心葉、文芸部二年。相変わらず部長の天野遠子におやつの短編小説を書く毎日。 ある日、中庭のポストに奇妙な紙切れが入っていた。謎の数字の羅列、“憎い”“助けて”“幽霊が”などの走り書…

f植物園の巣穴 梨木香歩著 朝日新聞出版 2009年

明治時代を舞台にした幻想小説。…多分(笑)。 粗筋書いてますが、あまり意味はない気がします(苦笑;)。 f植物園に赴任した矢先、治療途中で放っていた虫歯が疼き始めた。とりあえずf郷歯科にかかったが、助手である奥さんが犬であったり、痛み止めの薬…

バッカーノ! 1931特急編 The Grand Puck Railroad  成田良悟著  メディアワークス電撃文庫  2003年

『鈍行編』ど同時間軸、別視点で語られるもう一つの真相。 ネタばれになってるかな、すみません; 大陸横断鉄道特別急行列車『フライング・プッシーフット』。強盗団やテロリスト集団が一般乗客と乗り合わせ、多くの死者を出した事件。実際に何が起きたのか…

胡蝶の失くし物~僕僕先生  仁木英之著  新潮社  2009年

僕僕先生シリーズ三冊目。 職業兇徒 闇に囚われた者: 御史台の暗殺者集団・胡蝶の一員劉欣は、僕僕と王弁の暗殺を命じられた。僕僕一行は桂州始安で流行病の治療に勤しんでいる最中。毒の吹き矢で彼らを狙った矢先、劉欣の護符にひびが入る。どうやら劉欣を…

“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ) 野村美月著 ファミ通文庫 2006年

ネタばれになるのかな、すみません; 井上心葉(このは)、十六歳男子、文芸部所属。中学三年の時ついうっかり「井上ミウ」と言うペンネームで覆面美少女作家としてデビューしてしまい、その作品がベストセラーになってノイローゼになった過去を持つ。おかげ…

バッカーノ! 1931鈍行編 The Grand Puck Railroad  成田良悟著  メディアワークス電撃文庫  2003年

デビュー二作目。 1931年。 カリフォルニア発シカゴ経由ニューヨーク行大陸横断鉄道特別急行『フライング・プッシーフット』号。 ジャグジー・スプロットをボスとする不良集団は、貨物列車のとある荷物を盗むために三等客室に乗り込んだ。 ラッド・ルッソ率…

バッカーノ! The Rolling Bootlegs  成田良悟著  メディアワークス電撃文庫  2003年

第9回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞作。 ネタばれになってるかな、すみません; 2002年、ニューヨークで不良少年グループに商売道具を盗まれてしまった日本人カメラマンがいた。その価値の一割でカメラを取り戻してあげよう、と近付いて来た青年は、流暢な…

彼女が死んだ夜 西澤保彦著 角川文庫 2000年

タックシリーズ2作目。 ノベルズ版は1986年出版。 厳格な家庭に育った箱入り娘のハコちゃんこと浜口美緒。今夜は両親が法事で留守、翌日からはアメリカ留学ということでテンションは上がりっぱなし。だが、タックたち大学の同級生と酒盛をして帰宅すると、そ…

麦酒の家の冒険 西澤保彦著 講談社ノベルス 1996年

ネタばれ多少あります、すみません; 辺見祐輔(通称ボアン先輩)、高瀬千帆(タカチ)、羽迫由起子(ウサコ)と「僕」匠千暁(タック)の四人は、連れ立ってR高原へやって来た。宿舎を出発間際にガラの悪いサングラスの男と揉めたものの、散々楽しい時間を…

鬼仙 南條竹則著 中央公論新社 2006年

中国のお伽噺をベースにした短編集。 鬼仙 南宋の時代、主簿廨と呼ばれる官舎に住みついた鬼仙・英華との逸話の数々。情を通じた官吏に薬を渡したり、英華を退治しようとした官吏を酷い目にあわせたり、真面目すぎる官吏と最初は対立したものの、後には力を…

天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語  中村弦著  新潮社  2008年

第20回ファンタジーノベル大賞大賞受賞作品。 明治から大正にかけての、ある建築家の物語。 ネタばれになってると思います、出たばかりの本で本当、すみません; 明治14年、銀座煉瓦街の裏通りの洗濯屋の次男坊として、笠井泉二は生まれた。幼いころから頭脳…

薄妃の恋~僕僕先生 仁木英之著 新潮社 2008年

『僕僕先生』シリーズ第二弾。 かつて、のんべんだらり毎日ぐうたら暮らしていた青年・王弁と、可愛い少女仙人・僕僕とが各地を旅する連作短編集。ネタばれあります、すみません; 羊羹比賽 王弁、料理勝負に出る 大亀の珠鼈に乗って、訪れたのは荊州江陵府…

人格転移の殺人 西澤保彦著 講談社ノベルス 1996年

ネタばれあります、すみません; 舞台はアメリカ、カリフォルニア州。宇宙人が作ったのか、第二の都市(セカンド・シティ)と名付けられた不思議な部屋。この部屋に入った複数人は、互いに人格が入れ替わってしまう。三人以上の場合は時計回りに順々に人格が…

慟哭 貫井徳郎著 東京創元社 1993年

貫井徳郎、デビュー作。 ネタばれあります、すみません; 幼女誘拐殺人事件が起きた。指揮を取ったのは捜査一課長・佐伯警視。父親である大物政治家の手配で政略結婚した妻との仲は冷え切っていたが、同じ年頃の娘を持つ親として懸命に捜査する。しかし一向…

カーの復讐 二階堂黎人著 講談社ミステリーランド 2005年

二階堂黎人の描くアルセーヌ・ルパンの冒険譚。 ネタばれあります、すみません; ルパンの次の獲物は古代エジプトのメダリオン「ホルスの眼」。パリ大学の考古学者、ジョルジュ・ボーマン博士がエジプトで発掘し、持ち帰って来たもの。博物館での展示に先立…

殺意の集う夜 西澤保彦著 講談社ノベルス 1996年

西澤保彦四作目。 ネタばれあります、すみません; 嵐の夜、六人部万理の不倫相手・М大学助教授一日宮和徳の別荘で7人の男女が死んだ。うち6人は悪夢のような連鎖が続いて万理が殺したもの。だが最後の一人、友人の四月園子だけは万理は手を下していない。こ…

マジョモリ 梨木香歩著/早川司寿乃絵 理論社 2003年

梨木香歩さんの絵本。 ある朝つばきは、まじょもりからご招待を受けます。大人には「御陵」と呼ばれるその森は、昼間でも薄暗くひんやりしています。普段は入ってはいけない、と言われている神聖な場所に、つばきが思い切って入っていくと、そこには女の人が…

きいろいゾウ 西加奈子著 小学館 2006年

ムコさんの名前は武辜歩、ツマの名前は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う二人は、東京を離れて田舎暮らしを始めた。 うんと離れたお隣さんはアレチさん、いつもぽっかりズボンのチャックを開けていて、少し呆けの来た奥さん・セイカさんと暮…

蟹塚縁起 梨木香歩・著/木内達朗・絵 理論社 2003年

真夜中。とうきちが目覚めると、大勢の蟹が家の床下を通って、村の名主の家に向かっていました。 とうきちは昼間、沢蟹を殺生していた名主の息子を咎め、それを逆恨みした息子の訴えをまるごと信じた名主に牛をとられていました。 どうやら蟹が恩返しに来て…

七回死んだ男 西澤保彦著 講談社ノベルス 1995年

西澤保彦、デビュー三作目。 ネタばれまではしてませんが、かなり細かい所まで粗筋書いてます、すみません; 主人公・大庭久太郎(高1)は不思議な体質をしている。それは何かの拍子に同じ日を9回繰り返す“反復落とし穴”に嵌まり込む、と言うもの。その間…

この庭に 黒いミンクの話  梨木香歩著/須藤由希子絵 理論社 2006年

北方の国で、サーディンをつまみに日がな一日アルコールを飲む日々。日本酒、ウォッカ、コニャック、ウィスキー、ポートワイン……。食べたサーディンが体内で小さな群れになって回遊し始めるのを感じる。 しんしんと雪が降り積もった次の日、わたしは庭に小さ…