読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

麦酒の家の冒険 西澤保彦著 講談社ノベルス 1996年

 ネタばれ多少あります、すみません;

 辺見祐輔(通称ボアン先輩)、高瀬千帆(タカチ)、羽迫由起子(ウサコ)と「僕」匠千暁(タック)の四人は、連れ立ってR高原へやって来た。宿舎を出発間際にガラの悪いサングラスの男と揉めたものの、散々楽しい時間を過ごした帰り道。本道は土砂崩れで通行止め、迂回路も乗用車とトラックの追突事故で山火事寸前、やはり通行止めになっていた。元の国民宿舎に戻ろうとするが車がガス欠、仕方なく車を置いて山中をさ迷い、漸く無人の山荘に辿り着く。表札は外してあるし家具もカーテンもないくせに、一階には何故かベッドが一台、二階のウォークインクローゼットには冷蔵庫と、ヱビスビールのロング缶が96本ぎっしり詰まっていた。
 あまりの疲れと喉の渇きから宴会を始めてしまう4人。どうしてこんな空家にベッドとビールだけがあるのか、各々ビール片手に推理する。誘拐犯のアジトではないか、アダルトビデオの撮影現場ではないか、悪友が凝ったドッキリを仕掛けているのではないか。一通り出揃った所で、タカチが決定打とも言える推理を披露する。
 悪ガキに手を焼いた父親の大がかりなお仕置きと、それを防ごうとする祖父との攻防説。土砂崩れや追突事故の説明まで付けたタカチに、誰もが納得した。
 翌日、呼び出した友人にガソリンを分けて貰っての帰り道。4人は迂回路の先にもう一軒、ビールの館を見つけてしまう。外観や間取りは全く違うが、カーテンも家具もなく、道路に面した部屋にシングルベッド、2階のクローゼットにはビールの詰まった冷蔵庫がある所はそっくり同じ。
 何故もう一軒、似たような館があるのか。ボアン先輩の下宿先で、またしてもああでもない、こうでもないと推理を繰り広げる4人。タカチの悪ガキお仕置き説を補強する形でその場のケリは着いたものの、タカチ自身が納得していない様子。タカチに背中を押される形で、タックは新たな説を思いつく。…

 久しぶりに読んでみました、西澤作品。
 あれ、どうやら一作抜けたみたい。タックシリーズ3作目、でも2作目読んだ覚えがないわ;
 いや~、いいなぁ。こういうああだこうだ言い合う話大好き。『毒入りチョコレート殺人事件』とか、アシモフの『黒後家蜘蛛の会』とかもそうですよね、恩田さんの作品もそんなパターンのお話多いし。
 でも、この作品で繰り出されるあれやこれやは、ちょっと「これは無理はないか?」「いらなくはないか?」とも思いましたが(笑)。みんな飲める人でよかったねぇ、私はビールが苦手なので、いくら積んであってもきっと水飲んで寝るな(苦笑;)。
 ハリィ・ケメルマン著『9マイルは遠すぎる』をリスペクトして作られた作品なんだそうですね。北村薫さんも薦めてた覚えがあるなぁ。やっぱり読んだ方がいいかなぁ。