読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

千里伝 五嶽真形図  仁木英之著  講談社  2009年

 仁木英之が描く中華英雄譚。
 多分ネタばれしてます、すみません;

 かつて世界には何もなかった。
 老君は無から有を生み出し、西王母は天地を創造し、秘宝“五嶽真形図”が万物をつなぎとめた。
 人は種の争いを勝ち抜き、天地での繁栄を許されたが、“五嶽真形図”に天地の器と認められることはなかった。
 武帝が没して千年の後――図はふたたび、己の主を選びとる。
 種の存続を賭した人と“人”との戦いは、天地の消滅を目前にして一人の少年に託された。
 人の上半身と猛禽類の下半身を持つ異形の娘・紅葉と天下の猛将・高承簡の間の子・千里は、18歳になろうと言うのにいまだ5歳程度の体躯。しかしその膂力は既に大の大人を凌駕していた。ただその心根は傲慢で高飛車、旅の道士に魂魄の内力と外力がいびつに歪んでいると宣告されたほど。
 ある日母・紅葉が、続いて父・承簡が何者かにさらわれた。叔父・高霞寓について武芸の修行を受け、千里は両親を救う旅に出る。
 謎の道士・趙帰真に導かれ、旅の仲間は蒿山少林寺の修行僧・絶海と西蔵の狩人・バソン。千里は、特にバソンに対しては敵の蛮族であるという侮蔑の態度を隠さない。地上のどこかにあると言う五嶽真形図を探して、四人は大陸を縦横する。
 同じ頃、かつて人との争いに負けた“人”魔人も五嶽真形図を手に入れようとしていた。王・共工は自らの命を削って種が生きられる空間を作り、やがて消滅してしまうその世界から人の住む天地に移住するため、五嶽真形図を求める。その孫・玄冥は五嶽真形図の器たらんとやはり仲間を伴って千里一行と相対する。
 折角のチャンスも、千里の偏見が邪魔をする。玄冥たちに五嶽真形図を掻っ攫われ、千里自身も異世界に飛ばされる。唐の都皇帝、官僚、老将の目の前で千里を失ったまま、種の存続を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた。…
 (前半、表紙見返しの作品紹介文を転用しました) 

 …ええと、仁木さんってこんなに文章拙かったっけ…?(爆!)。
 連想したのは広井王子原作、芦田豊雄キャラクターデザインのアニメシリーズ。『魔神英雄伝ワタル』とか『魔動王グランゾート』、『空想科学世界ガリバーボーイ』の世界ですね。半年か一年に渡って放送されるアニメ番組。そして、今の所、私は『千里伝』よりこの一連のアニメを取る。
 …予定調和なんだ~。キャラクターと言いオチと言い、見えちゃうんだ~。で、その王道っぷりを楽しむには、私はひねくれ過ぎちゃったんだ~。千里がバソンへの偏見、蔑視を克服するのはもう最初の方から分かっちゃうから、さらに一捻りを期待したら、本当にそれが大オチなんだもの; で、それまでの千里の性格も悪くてどうも肩入れしにくかったしなぁ。
 ライトノベルのレーベルならよかったのかなぁ。初めて読むファンタジー、ってのなら悪くないと思うんですが、私には物足りなかった。
 個人的に驚いたのは、趙帰真が藤崎竜著『封神演義』の絵柄で浮かんできたこと。あまり真面目に読んでたつもりはなかったのですが、実はインパクト大きかったんだなぁ。意外、意外。