真夜中。とうきちが目覚めると、大勢の蟹が家の床下を通って、村の名主の家に向かっていました。
とうきちは昼間、沢蟹を殺生していた名主の息子を咎め、それを逆恨みした息子の訴えをまるごと信じた名主に牛をとられていました。
どうやら蟹が恩返しに来てくれたようです。夕方には女の人の姿をとって炊事をしてくれたばかりでした。
「…まさか名主の命を奪ってはおるまいな」
心配になって名主の家に行ってみると、蟹は二手に別れ、一手は牛を解き放とうとしており、一手は錆びた刀を掘り返そうとしていました。蟹ととうきちと名主とは、前世からの因縁に縛られていました。…
とうきちは昼間、沢蟹を殺生していた名主の息子を咎め、それを逆恨みした息子の訴えをまるごと信じた名主に牛をとられていました。
どうやら蟹が恩返しに来てくれたようです。夕方には女の人の姿をとって炊事をしてくれたばかりでした。
「…まさか名主の命を奪ってはおるまいな」
心配になって名主の家に行ってみると、蟹は二手に別れ、一手は牛を解き放とうとしており、一手は錆びた刀を掘り返そうとしていました。蟹ととうきちと名主とは、前世からの因縁に縛られていました。…