読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

読書 作家別ま行

青瓜不動 三島屋変調百物語九之続 宮部みゆき著 KADOKAWA 2023年

シリーズ9冊目。 青瓜不動 おちかの出産を控え、百物語を中断している三島屋を、行然坊が訪ねて来た。彼はおちかの為にもと、一人の女を紹介する。東ケ谷高月村 洞泉庵から来たいね、大きな仏像――うりんぼ様を背負っていた。いねは自分も世話になっている洞…

ぼんぼん彩句 宮部みゆき著 角川書店 2023年

俳句を元に想像を広げた短編集。 枯れ向日葵呼んで振り向く奴がいる 経路図を見もせずにバスに乗ったアツコ。結婚式の日まで決まっていた婚約者は、他の女を妊娠させ、「その女と結婚する」と凛々しく告げて去って行った。その後の周囲の対応に呆れ果てるア…

その本は 又吉直樹・ヨシタケシンスケ著 ポプラ社 2022年

本の好きな王様がいました。王様はもう年寄りで、目がほとんど見えません。王様は二人の男を城に呼び、言いました。「わしは本が好きだ。今までたくさんの本を読んだ。たいていの本は読んだつもりだ。しかし、目が悪くなり、もう本を読むことができない。で…

よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続 宮部みゆき著 角川書店 2022年

シリーズ8冊目。 ネタばれあります、すみません; 第一話 賽子と虻 餅太郎が語る。 餅太郎が生まれ育ったのは上州宇月藩の畑間村、麻や木綿が特産品。藁と端切れ布を織り混ぜて編んだ草履が評判で、餅太郎の姉おりんはこれを編むのが上手かった。その地域一…

子宝船 きたきた捕物帖(二) 宮部みゆき著 PHP研究所 2022年

シリーズ2冊目。ヘタレで半人前の岡っ引き見習い・北一が、湯屋の釜焚き・喜多次とともに、様々な事件に翻弄されつつ成長していく時代ミステリー。 ネタばれあります、すみません; 第一話 子宝船 赤子を亡くした家の宝船の絵から弁財天が消えていたらしい…

バベル九朔 万城目学著 角川書店 2016年

ネタばれあります、すみません; 俺 九朔満大は5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指している。巨大ネズミ出没、空き巣事件発生、店子の家賃滞納と騒がしい毎日のなか、ついに自信作の大長編を書き上げた。新人賞の応募受付締め切…

名もなき本棚 三崎亜記著 集英社文庫 2022年

掌編集。ネタばれあります、すみません; 日記帳 ある日、アパートの郵便受けに入っていた分厚い日記帳。今まで五人の女性が書き継いで来たらしい。そして、自分も自分の日常を綴り始める。次の人に渡すその日まで。 部品 咳き込んだ瞬間、何かの部品が自分…

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~ 三上延著 メディアワークス文庫 2022年

シリーズ10冊目。ネタばれあります、すみません; 古書店 虚貝堂の跡取り息子 杉尾康明が亡くなった。個人的な古書コレクションが千冊ほどあったらしいが、父親である店主 杉尾正臣は全て売り払うという。康明の別れた妻 樋口佳穂は、息子にも相続の権利はあ…

パーマネント神喜劇 万城目学著 新潮社 2017年

連作短編集。 ネタばれあります、すみません; はじめの一歩 縁結びの神様に、「まず、はじめに」という口癖を封じられた篠崎肇。おかげで今までの、順序立てているようで実は優柔不断だった行動が、行き当たりばったりになってしまった。おかげで日々新しい…

Mozu ミニチュア作品集 こびとの世界 Mozu著 玄光社 2021年

ミニチュアアーティスト、コマ撮りアニメーター、トリックラクガキ作家としてTwitter(21万フォロワー)やInstagram(22万フォロワー)、YouTube(チャンネル登録者数39万人)ではもちろん、数々の企業とのコラボレーションでも活躍している天才アーティスト…

白ゆき姫殺人事件 湊かなえ著 集英社 2012年

ネタばれになってるかもしれません、すみません; 化粧品会社の女性社員が黒こげの遺体で発見された。被害者三木典子が美人だったことと勤め先の看板商品の名前から「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれるようになったこの事件に、週刊誌のフリー記者 赤星は巻き込…

博多さっぱそうらん記 三崎亜紀著 角川書店 2021年

博多VS.福岡、100年以上にわたる因縁の対決が令和の時代に再燃!? 生粋の博多っ子のかなめは、高校時代に片思いをしていた博と再会。しかし博はアンチ博多人間になっていた! 原因はどうやら、高校時代のかなめの言動にあるらしい。 商店街のセール催事「せい…

あの家に暮らす四人の女 三浦しをん著 中央公論新社 2015年

織田作之助賞受賞作。 ネタばれになってるかも、すみません; ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の牧田佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の谷山雪乃(毒舌)と上野多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山…

羊と鋼の森 宮下奈都著 文藝春秋 2015年

第13回本屋大賞受賞作品。 高校二年生の時、たまたまピアノの調律に来た板鳥を体育館に案内して、外村はその作業に魅せられた。北海道の山村を出て専門学校に入り、調律師となって板鳥と同じ職場に就職する。そこには他にも数人の調律師がいた。 柳は独特の…

魂手形 三島屋変調百物語七之続 宮部みゆき著 角川書店 2021年

『三島屋変調百物語』シリーズ7冊目。 ネタばれあります、すみません; 第一話 火炎太鼓 美丈夫の侍が語る。 美丈夫の侍 小新左が十歳の頃。法螺貝が鳴ったある日、兄嫁のよしは「お太鼓に変事があったのでは」と不安顔、果たして神器の火炎太鼓の一つが盗賊…

マナーはいらない 小説の書き方講座 三浦しをん著 集英社 2020年

三浦しをんが的確かつ楽しく伝える、小説の書きかた講座。伝説のWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」が、書きおろしやコラムを加え、『マナーはいらない 小説の書きかた講座』として、ついに単行本化!長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きた…

のっけから失礼します 三浦しをん著 集英社 2019年

2014年~2019年まで、雑誌「BAILA」に連載されたエッセイをまとめた一冊。書き下ろしも有り。 雑誌「BAILA」での連載に、紀州パンダ紀行など、とっておきの書き下ろし5本を加えた「構想5年!」(著者談)の超大作(?)エッセイ集。タクシーで運転手さんと繰り広げ…

ののはな通信 三浦しをん著 角川書店 2018年

ネタばれあります、すみません; 横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士…

四畳半タイムマシンブルース 森見登美彦著/上田誠 原案 角川書店 2020年

炎熱地獄と化した真夏の京都で、学生アパートに唯一のエアコンが動かなくなった。妖怪のごとき悪友・小津が昨夜リモコンをコーラで水没させたのだ。残りの夏をどうやって過ごせというのか? 「私」がひそかに想いを寄せるクールビューティ・明石さん(映画研…

悟浄出立 万城目学著 新潮社 2014年

短編集。 悟浄出立 天竺への旅の途中、悟浄はふと八戒に前世について尋ねる。希代の名将と謳われた天蓬元帥と、現在の八戒の姿が重ならなくて。八戒は語る。結末だけを追うが故に強かった天界の自分と、過程を重視できるようになった現在の、人間界の自分と…

きたきた捕物帳 宮部みゆき著 PHP研究所 2020年

連作短編集。 第一話 ふぐと福笑い 深川元町の岡っ引き、文庫屋の千吉親分がふぐに中毒って死んだ。享年46、文庫屋の方は一の兄ぃ万作が引き受けるとして、十手稼業は弟子の誰にも継がせない、と生前宣言していたらしい。千吉親分の一番の下っ端 北一は、糊…

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ ~扉子と空白の時~ 三上延著 メディアワークス文庫 2020年

『ビブリア古書堂』新シリーズ第二弾。 ネタばれあります、すみません; プロローグ 祖母の智恵子から連絡を受けて、扉子は父 大輔の過去の記述 事件手帖を手に取る。祖母が確認したいのは、横溝正史『雪割草』に関する記録らしい。 第一話 横溝正史『雪割草…

少女ノイズ 三雲岳斗著 光文社 2007年

連作短編集。 ネタばれになってるかも、すみません; Ⅰ Crumbling Sky 特任准教授 皆瀬梨夏の仲介で、「僕」高須賀克志(スカ)は予備校 雙葉塾の塾講師のアルバイトをすることになった。但し担当生徒は一人だけ、高校二年生の斎宮瞑。校内のどこかにいる彼…

黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続 宮部みゆき著 毎日新聞出版 2019年

『三島屋変調百物語』シリーズ6冊目。 ネタばれあります、すみません; 第一話 泣きぼくろ おちかに代わり、変わり百物語を聞くことになった富次郎に、口入屋 灯庵が周旋したのは幼馴染みの八太郎だった。 かつて大所帯で豆腐屋を営んでいた八太郎の家は、…

さよならの儀式 宮部みゆき著 河出書房新社 2019年

SF短編集。 母の法律 虐待を受ける子供とその親を救済する奇蹟の法律「マザー法」。二葉は血の繋がらない姉と兄と両親と充実した生活を送っていたが、咲子ママが悪性新生物に侵されて亡くなってしまい、施設への再鑑を余儀なくされる。ある日、実の親と過ご…

眉村卓さん

新聞で訃報を知りました。 間違いなく、私の根っこにいる作家さんのお一人です。 『なぞの転校生』『ねらわれた学園』、いわゆるジュブナイルから入って『C席の客』『重力地獄』『奇妙な妻』。中学の頃読んだ本って、どうしてこんなにも覚えてるんでしょう。…

同潤会代官山アパートメント 三上延著 新潮社 2019年

二人は、かなしみを乗り越えるために〝家族〞になった――。 昭和二年。関東大震災で最愛の妹を喪った八重は、妹の婚約者だった竹井と結婚したが、最新式の住居にも、新しい夫にも、上手く馴染めない自分に苛立ちを感じていた…。 昭和と共に誕生し、その終わり…

ソロモンの偽証 6 第Ⅲ部 法廷 下巻  宮部みゆき著 新潮文庫 2014年

この間読んだ『宮部みゆき全一冊』で、「ボーナストラック」なる書き下ろしが収録されていると知って借りた一冊。勿論、中の書き下ろし中編「負の方程式」が目的。 ネタばれになるかな、すみません; 夏休み、災害訓練の一環として学校に宿泊する<体験キャ…

昨日がなければ明日もない 宮部みゆき著 文藝春秋 2018年

杉村三郎シリーズ、第5弾。 絶対零度 杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができまいままで、メールも繋がらないのだという。娘婿の「原…

熱帯 森見登美彦著 文藝春秋 2018年

汝にかかわりなきことを語るなかれ――。そんな謎めいた警句から始まる一冊の本『熱帯』。 この本に惹かれ、探し求める作家の森見登美彦氏はある日、奇妙な催し「沈黙読書会」でこの本の秘密を知る女性と出会う。そこで彼女が口にしたセリフ「この本を最後まで…