読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

“文学少女”と飢え渇く幽霊(ゴースト) 野村美月著 ファミ通文庫 2006年

 “文学少女”シリーズ二作目。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 井上心葉、文芸部二年。相変わらず部長の天野遠子におやつの短編小説を書く毎日。
 ある日、中庭のポストに奇妙な紙切れが入っていた。謎の数字の羅列、“憎い”“助けて”“幽霊が”などの走り書き。期末試験も迫っているのに、遠子先輩は手紙の主を突き止めるのだと夜の学校で待ち伏せする。仕方なくつきあっている心葉の目の前でポストにメモを入れたのは、旧い制服を着た痩せ細った少女だった。尊大な微笑みを浮かべる彼女は九條夏夜乃と名乗り、自分は幽霊なのだと言い放つ。だが昼間学校で見かけた彼女は雨宮蛍と言う名で、昨夜二人と会ったことを否定する。
 蛍と付き合っていると言う櫻井流人に押し切られ、心葉は雨宮蛍の身辺調査をする羽目に。蛍は母親も父親も、優しかった叔母も亡くし、今は血の繋がらない叔父・黒崎保と二人で住んでいることが分かる。夏夜乃と言うのは蛍の母親の名らしい。
 流人と連絡が取れなくなり、遠子と心葉は蛍の屋敷に乗り込む。散々に散らかされた部屋は誰もいない様子。地下室へ入った二人はそこに明らかな監禁の跡と沢山の児童書、ポストに入っていたのと同じ数字の暗号を見つける。
 何かを知っている様子の姫倉麻貴先輩、黒崎の正体と目的、それを叶えまいとする蛍の絶望。“文学少女”が真相を暴き、心葉がさらに隠された動機を見抜く。…
 
 うわ~、この作者、結構容赦ない!
 下敷きになっているのは『嵐が丘』。だからどろどろしているのは当たり前ですが、救いがないと言えばまぁ救いがない真相。…とか言いながら私、元ネタ『ガラスの仮面』でしか知らないんですけど(苦笑;)。
 面白かったです。自分でもどうしようもない感情に振り回され、戻らない時を戻そうとする登場人物。それに巻き込まれた不幸な少女、彼女自身の感情も踏みにじられる。はずみで心葉まで過去の傷が疼きだす。美羽と言う子はどうしてあんなことになったんでしょうねぇ。遠子先輩は当然心葉が井上ミウだと気付いてるんでしょうね、多分味で(笑)。
 遠子先輩の家庭環境も複雑そうです。続き読みたいんですが、他館からの取り寄せ手続きを拒否されてしまいました。シリーズものは購入も取り寄せもできないんだそうです。蔵書にあったら絶対人気図書になるだろうに。…私市民税払ってるのになぁ;  全巻揃えるしかないのかしら;