連作短編集、になるのかな。
ネタバレあります、すみません;
序章 Iの悲劇
山あいの小さな集落 簑石から人がいなくなった。六年後、簑石に新たな住人を呼び寄せて村の再生を図ろうというプロジェクトが、新市長のごり押しで進められることになった。
第一章 軽い雨
万願寺は、簑石への移住者サポートを担当する「甦り課」に配属になった。同僚は昨年採用されたばかりの観山遊香と、やる気のまるでない西野課長のみ。
第一陣の移住者は久野家夫妻と安久津親子。久野はラジコンヘリを自由に飛ばせて楽しそうだし、安久津一家は幼い子を交え、庭で毎日バーベキュー三昧をしている。万願寺は一抹の不安を抱えつつ二家族の生活をフォローしてきたが、どうも既に近所トラブルが起きているらしい。やがて、留守の安久津宅に火事が起きる。
第二章 浅い池
第二陣の十世帯が移住してきた。牧野さんは休耕田で養鯉を始めると意気込んでいる。だが数日後、市役所に 誰かが鯉を盗んでいると訴えてきた。四方にネットを張り巡らせて用心しているというのに。
第三章 重い本
歴史研究家の久保寺さんは、本をはじめとする大量の資料の保管場所を求めて、簑石に移住してきた。隣家の立石さんとの関係も良好なようだ。立石さんの子供・速人君は元々病弱だったが、久保寺さんに懐き、転地療養の成果もでているようだ。だがある日、速人君が行方不明だと市役所に連絡が入る。
第四章 黒い網
アマチュア無線が趣味の上谷さん。だがそのパラボナアンテナを、河崎さんの奥さんは壊せという。理由は健康に悪いから、同じ理由で車の排気ガスも嫌う。その上近所の滝山さんにモーションをかけているようだ。
仕切屋の長塚さんの音頭取りで始まった懇親バーベキュー会で、河崎さんの奥さんがキノコの食中毒で倒れた。キノコを用意した上谷さんは夜逃げ同然で簑石を出て行く。果たして上谷さんは河崎さんの奥さんを害そうとしたのだろうか。
第五章 深い沼
市長に、簑石の状況を説明する万願寺たち。上手く行っていないにも関わらず、市長からのお叱りはない。これから起こり得る様々な問題点を土木課で検討した万願寺は、東京に出た弟から、改めてプロジェクトの意味を問われる。
第六章 白い仏
長塚さんは、若田夫妻の家にあった円空仏が気になっている。簑石村復活のキーになると張り切っているが、若田さんの特に夫は、円空仏に妙に思い入れて、頑なに仏を護っているようだ。古い日記を調べたいとの依頼を受け、若田家に手伝いに向かう万願寺と観山。急用が起きた観山に変わり、仏のある離れで資料を読んでいた万願寺は、猛烈な眠気に襲われ、離れの部屋に閉じ込められる。ようやく脱出できた後、調べた円空仏は偽物にすり替えられていた。
終章 Iの喜劇
簑石の最後の住人が出て行った。無人の村に観山と西野課長と佇んで、万願寺は皆がこの村を出て行くように働いていた力について語り合う。…
これはイヤな終わり方でしたね~。何かもう万願寺さんが可哀想で、これ二度と人を信じられなくなったんじゃないかしら。
過疎化の問題について、以前テレビでコメンテーターさんが、「インフラのことを考えるとひとまとめに住んだ方がいい」みたいなことを仰ってたことを思い出しました。それはそうだろうけど、農業とか林業とかある程度広い土地が要る職業についてはどうするんだろう、と思ったことも。
確かにクセの強い人が多く登場してきて、「こんな人が近所にいたら大変」とも思いましたが(養鯉の牧野さん、現場に居合わせなかったのかしら、大騒ぎだったでしょうに!?)、それでも追い出されること前提ってのは酷いなぁ。
ラスト 万願寺さんを勧誘する西野課長、よくそんな気になるとも。有能であることをこんな形で認められてもなぁ;;
何かすごく切なかったです。