読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あつかったらぬげばいい ヨシタケシンスケ著 白泉社 2020年

「ヘトヘトにつかれたら」 「ふとっちゃったら」 「だれもわかってくれなかったら」 「せかいがかわってしまったら」…。 子ども、大人、おじいちゃんのさまざまな疑問に痛快に答える!
大人も子どもも楽しめる、ヨシタケ式心を緩める絵本。くすっと笑えて気持ちがラクになる!とメディアでも大きな話題に! 大切な人への贈り物や、お守りのように側に置きたい1冊です。  (出版社紹介文より)

 TVでだったかな、紹介されていて興味を持った絵本。そこで紹介されていたのが「ふとっちゃったら」「なかまをみつければいい」の一節で、思わず吹き出してしまいました。
 可愛らしい絵柄、疲れてやぶにらみになってる顔も飽きているような顔もすまし顔も、どれもユーモラスで憎めない。とにかく達者。
 人生のアドバイス的な本だなと思っていたら、「どうしてもかってほしかったら」「いいこのフリをすればいい」なんて処世術的な文言も(笑)。
 「みかえりがほしかったら」「しょくぶつをそだてればいい」なんて、見事に実践的だと目からウロコ!の思いでした。
 「へやがちらかってたら」「とりあえずむきだけそろえればいい」は早速実行しようと思います(笑)。

水木一郎さん

 闘病中だとは聞いていました。快復を願っていたのですが。

 物心ついた頃には、もうお聞きしていた声でした。
 アニメや特撮がまだ下に見られていた時代を、こつこつ積み上げられてこられた方のお一人。不快な目にあわれたこともあっただろうに、明るくパワフルに歌声を届けて下さいました。「カッコイイ」の一つの形を、見せて貰った気がします。

 天に轟く「ブロロロローーーー!!」の雄叫びは決して忘れません。
 長い間ありがとうございました。ご冥福をお祈り致します。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 櫻花の葬送 太田紫織著 KADOKAWA 2021年

 シリーズ最終巻。
 ネタばれあります、すみません;

 蝶は聖夜に羽ばたく・後 第肆骨
 神居古潭の洞窟で、好美に襲われて重傷を負った千葉。櫻子と正太郎は好美を説得し、彼女を追わない代わりに千葉を助けるよう取引する。正太郎の機転もあってスムーズに救急車が呼べ、櫻子が残した痕跡を手掛かりに山路も来てくれて、漸く家に帰った櫻子たちを待っていたのは警察だった。櫻子は殺人事件の容疑者として警察に連れて行かれてしまう。
 殺されたのは奥原修、神居古潭の洞窟で人形の首目当てに誘き出された男。発見者は内海警官と阿世知蘭香、山路だった。櫻子を追っている途中で死体を見つけ、櫻子が犯人だろうと言う山路の言葉に相当葛藤した末、警察に通報したらしい。
 好美の犯行だ、と予想した正太郎は彼女の行方を追う。好美の姉 清美の住んでいたアパートを訪れ、当時残されていたミントの鉢植の、真実のメッセージを予想し伝える。

 最終骨 櫻花の葬送
 櫻子さんが釈放されて数日後。薔子さんの別荘で改めて行われたクリスマスパーティーで、櫻子や正太郎は 隠し部屋に遺された品々を確認し、「清白」の存在を認識した。改めて惣太郎の死の真相を探るため、事件直前まで乳母として雇われていた箱石恵子の行方を探す。やがて判明する清白と箱石の関係、櫻子の伯母 薫子との因縁。箱石恵子を訪ねた櫻子と正太郎は、そこに山路陽一の姿を見る。…

 ええと、結局 他の幼児の殺害犯は関係なかったの? 
 最終巻でいきなり犯人が出てきました、うぬぅ; 山路兄弟のミスリードは、映像のない小説ならではのものでしたね。読んでて「時系列どうなってるんだ?」とは思ったんだけど。
 最後に描かれたばあやさんの魂の救済が、最大の伏線でしたね。正太郎君はまさにこのためにいた訳だ。
 みんな進むべき道を選んだハッピーエンド、なんですが、phantomの正体は一体??
 色々積み残しがあるような気がしてしまいました(苦笑;)。

爆笑問題 with タイタンシネマライブ#77に行ってきました。

 12月9日(金)、「タイタンライブ」の生中継を見てきました。
 銀座時事通信ホールで開催されるお笑いライブ「タイタンライブ」を各地TOHOシネマに生中継、スクリーンで鑑賞するシネマライブ。
 今回もTOHOシネマ梅田本館にて鑑賞です。

 出演は まんじゅう大帝国、しびれグラムサム、春とヒコーキ、ネコニスズ、ダニエルズ、脳みそ夫、キュウ、トム・ブラウン、シティホテル3号室、ヒコロヒー、ウェストランド、BOOMER&プリンプリンと爆笑問題でした。 

 まんじゅう大帝国は駄洒落を開扉しようと励み、しびれグラムサムは講演会でのイチローの名言を披露、春とヒコーキは思いもよらぬ異世界転生のコント。
 ネコニスズはお笑い対決で学生に負けた男のその後を描き(これを漫才でしたもんなぁ。…足の怪我の説明は一言欲しかったかも;)、ダニエルズはドッグトレーナーの私生活が垣間見られるコント、キュウはキャンディの舐め方について語り合い、脳みそ夫は訴えられた乙姫の弁明を証拠音声つきで。
 トム・ブラウンは新成人三人の女の子を合体させる漫才、シティホテル3号室は関係者以外立ち入り禁止エリアに出没する男のコント(「スタッフオンリー」は思わず感心してしまった・笑)、ヒコロヒーは電話相手に自分を褒めさせ至福の時を味わい、ウェストランドは相方の趣味に偏見で毒づき(『ラヴィット!』出てらっしゃいましたね~)、BOOMER&プリンプリンは遠山の金さんのコントを。途中、ぐだぐだになっちゃいましたね~(笑)。
 で、爆笑問題です。……ぱんちゃんりなって誰!? いや、ちゃんと田中さん説明して下さったんですけどね(笑)。まるっきり興味のない”三苫の1ミリ”を正確無比に熱弁する田中さん、場内大爆笑。さすがプロですよ、梅田では拍手笑いが起きてました(笑)。岸田内閣の辞任ドミノにキンプリの脱退、ジブリパークやスパイファミリー等々。どの話題より田中さんの惹きはオコエ瑠偉のトレードにあったそうです。

 エンディングトーク、ヒコロヒーさんは「BOOMER&プリンプリンさんとコントやりたい」と発言。それは、……どうだろう(笑)。
 でも今回のメインは、M-1決勝進出したウェストランドとキュウの二組だったような。「マイクが人数分ない」の言葉に、ヒコロヒーさんもトム・ブラウンも大急ぎで自分のマイクをお二組に渡したり。M-1グランプリの権威が計り知れます(笑)。決勝に残れると思ってた、とお二組とも仰ってましたね。
 タイタン事務所からの二組出場に、太田さん「吉本勢をぶっ飛ばせ」、井口さん「それはちょっと…」 番組での共演多いですもんね、気使いますよね。優勝まで行かなくても、ブレイクの切っ掛けになればいいですね。

 次のライブは来年2月、一年過ぎるのがどんどん早くなるなぁ。M-1は勿論、年末年始はネタ番組が多いので楽しみです。

営繕かるかや怪異譚 その参 小野不由美著 角川書店 2022年

 シリーズ3冊目。連作短編集。

 これぞ怪談文芸の最高峰!
 怖ろしくも美しい。哀しくも愛おしい。
 建物で起こる怪異を解くため、営繕屋は死者に思いを巡らせ、家屋に宿る気持ちを鮮やかに掬いあげる。
 我が家は安心……だから危うい。   (帯文より)

 待ち伏せの岩
 崖の上に建つ洋館、今はフレンチレストランになっているそこの窓に女性の影が映るという。彼女に手招きされた従弟が嵐の夜にボートを漕ぎ出して死んだ、彼女を出せ、と言われてオーナーシェフの青野は戸惑うばかり。何故なら家族にも従業員にもそんな女性はいないから。だが青野の娘 多実もその窓に女性の姿を見ていた。但し、部屋の中から外に向けて。

 火焔
 姑は誰に対しても悪意をまき散らす人だった。実の娘 久美が、介護した義妹の順子に感謝して、財産を相続放棄するほどに。夫も先に亡くしていたので、たった一人で古い家に住むことになった順子。所が、未だ残る姑の影が順子を追い詰める。薬の時間に壁を激しく叩き、仕事先に電話がかかって来る。階段から落ちた順子を心配して、久美は営繕屋を依頼した。

 歪む家
 弥生が作るドールハウスは、作るうちに情景が歪んでいく。幸せな家庭を作っている筈なのに、何故か不幸を映し出す。その度、お寺で焚き上げしてもらう弥生。唯一本格的に組んだドールハウスの中も日々歪んでいく。鼠が死に、抱き人形がバラバラにされ、赤ん坊が殺された。弥生が手を加えた覚えはないのに、腕を見込まれて初めて人の為に作ろうとしていたのに。

 誰が袖
 典利の実家は幽霊屋敷だった。父も祖父も何故か改修を嫌がったので家はぼろぼろ、父の死をきっかけに潰してしまった。だが、郊外に新築したこの家でも、あの家で匂ったお香のような匂いが漂ってくることがある。実家から持って来た薬箪笥からだろうか、何か紫吹いた跡がある薬箪笥。後添いだった母から、父も祖父も最初の妻を初産で子供もろとも亡くしていることを聞いたのは、妻の和花のお腹が大きくなってからだった。

 骸の浜
 真琴の家の庭は、近くの海岸線が模してある。海での死者は、自分の亡骸の場所を教えに真琴の家を訪れる。かつては払われた敬意も今では忌むものとして遠巻きにされ、真琴たちが家を建て直ししようとしても近隣の人から嫌がらせをされて阻まれた。台風の日に雨戸を飛ばされ、真琴は怯える。折しも小さな女の子が川に流される事故が起きた、朝にもその女の子が来てしまう――。

 茨姫
 跡取りのいない歯科医を継ぐため、郷里に戻った響子。17年前に姉は自死し、母も二年前に亡くなった今、響子はようやく実家の遺品整理を始める。母親は姉ばかりを可愛がったので、仲はよくなかった。母の遺品は姉にまつわるものばかり、一番の難題は庭、びっしりとツルバラが覆う小屋で、姉は首を吊った。…

 容赦ない建築用語(?)建具用語(??)に四苦八苦つつ(パーゴラって以前にも出てきたっけ、オランジェリーって何、ドーマー窓ってどんなの、…って調べればいいんですけど・苦笑;)。和物の方がまだ分かるなぁ、田舎があったせいかしら。
 優しいなぁ。今回、性格的にかなり問題がある死者も出てくるんですが、その人への対処すら優しい。いや、基本的には「適当にあしらう」「やり過ごす」がベースなんですけど、無碍にしている訳ではない。そういえば、生前関わりのあった人が残ってる、ってのは今回初ではなかったっけ。今までは自分に直接関係ないものが障る、というパターンだったような。
 「居心地のいい家」っていいですね、だからこそ生まれる余裕。死者にとっても。庭師の堂原さんの能力も発揮されましたね。
 じわじわと積み重なっていく展開は短篇でも健在、さっさと尾端さん出てこいや、とじりじりしながら読みました(笑)。

首取物語 西條奈加著 徳間書店 2022年

 連作短編集、になるのかな。
 ネタばれあります、すみません;

 第一話 独楽の国
 記憶のないまま、少年はそこにいた。覚えているのは「おふう」という名のみ、切り立った崖に挟まれた小道で、そこにいる男から何度も何度も握り飯を引ったくり続けている。何十回目か、少年は生首が転がっているのに気づく。生首は生きて喋った。やはり記憶がなく、少年をトサ、自らをオビトと名付けて、握り飯の男に話を訊こうとする。この回る独楽のような輪廻の世界から抜け出すには、その男が肝になっているに違いない。その予測を聞いて、トサは躊躇いなく男を殺そうとする。

 第二話 波鳥の国
 男を生まれ故郷に送って、トサとオビトは旅の法師に出会った。「御首さま」という信仰を聞いた二人は、御首さまが使うという『波賀理』を見極めに、その大元の地 那良へ向かうことにする。
 途中、海辺へ出た二人は、漁師の若夫婦にもてなされた。その夜、津波が小屋を襲い、トサはオビトと若夫婦の赤ん坊を抱いて、高台へと走る。

 第三話 碧青の国
 トサとオビトは碧青(あお)の国に迷い込んだ。少女おくうによると、ここは碧青と呼ばれる宝玉の原石採掘を生業にしているのだとか。この国の民は国を出ることが許されず、何故か四十歳を迎えられず死んでいくという。おくうが人柱に選ばれたのをきっかけに、トサとオビトは彼女を連れて国外へ逃げ出す。見たことのない景色に喜ぶおくう、だが三日と保たずに彼女の具合が悪くなった。

 第四話 雪意の国
 大吹雪の雪原で船に出会ったトサとオビト。乗せて貰って束の間、血吹雪に出くわした。正気を失わせ、亡くした人の幻を見せて命を奪うという血吹雪。トサはそこで虚空におふうを見つけたらしい。

 第五話 消去の国
 於保津にて、オビトは盗賊団の少年 日達丸に攫われそうになった。貧しい人々が集まった盗賊団は今では壊滅状態で、特に頭の瑞奇丸は妹を惨殺されて抜け殻同然、辛い過去を喰う鬼のいる「消去(きえさり)の国」に行きたいと呪いを続けている。日達丸は、消去の国の鬼と話せるのは御首さまだけと宣託されて、鬼が瑞奇丸を連れて行かないよう説得して欲しいとオビトを探していた。果たしてその日現れた鬼は、オビトの過去も喰らったことがあると言う。

 第六話 和茅国
 那良の地に着いた二人。だが『波賀理』の手掛かりは得られない。諦めて新たな旅に出ようとしたとき、トサは「おふう」を見かける。おふうとは、トサが生まれ故郷で口減らしに殺されそうになった後に拾った鷹の雛で、幼馴染みの生まれ変わりとして大切に育てていた鷹だった。だがその鷹は殺され、鷹羽がオビトの主君である領主の長子に献上された。トサは長子を射殺し、オビトはトサを罪人として捕まえる。

 第七話 波賀理の国
 二人の過去の因縁が明らかになり、『波賀理』が目の前に現れた。御首でできた巨大な天秤はそれぞれの皿に二人を乗せ、「義」を量ろうとする。どちらの行動に義があったのか、オビトは二人が助かる唯一道、秤が釣り合う方法を探る。…

 戦国時代っぽい舞台背景で描かれたファンタジー。旅を続けていくうちに自らの出自やその罪咎を思い出し、昇華する。
 首だけの喋るおっさん、って設定をよく思い付いたなぁ。かなり荒んだ風だったトサが、徐々に人の情を取り戻していく過程は納得いきました。それだけにまた元に戻るのが切ない。
 最終的にオビトとトサが釣り合う、って描写がしっかりとはなくてですね、あれ、助かったのか、と少々戸惑いました。方法もちょっと曖昧というか、はっきりした解があるようなないような、でも確かに心持の問題でもあるからなぁ。
 挿画がいい。本当に水彩なのか水彩風なのか分かりませんが、登場人物が可愛らしくも特徴的に描かれてて凄く好みでした。

箱庭の巡礼者たち 恒川光太郎著 角川書店 2022年

 連作短編集。

 箱の中の王国
 洪水の後、拾った黒い箱の中には小さな世界があった。塔があって城があって森があって、竜や吸血鬼が住んでいる。その世界の観察に夢中になる「ぼく」内野陽。共有するのは同級生の絵影久美。家庭に問題を抱える彼女は、やがて、箱庭世界に入りたいと言い始める。圧政が敷かれ、殺人鬼が横行するような世界なのに。彼女が殺人鬼を倒し、革命を引き起こす頃、内野の元に「黒い箱を探している」人物が現れる。

  物語の断片1 吸血鬼の旅立ち
  吸血鬼ルルフェルは迫害され、森でひっそり暮らしていた。ある日、エカゲと名乗る少女が現れ、今までの態度を改めたいと言ってくる。それから数十年。彼女の孫ミライが再びルルフェルの前に現れ、一緒に旅をしたい、それが祖母の夢でもあったと語りかける。

 スズとギンタの銀時計
 炭鉱で父は死に、母は行方不明になった。スズとギンタの姉弟は都会に出て働いた。スズがカフェで出会った外国人ショーンはスズの目の前で変死し、一緒にいたスズの手に、針が一本しかない銀色の懐中時計が残される。それは未来にしか飛べないタイムマシンで、二人はそれで時間跳躍を繰り返し、何度も危機をやり過ごした。身の危険然り、戦争然り。やがて彼らを追ってくる何ものかの存在を、二人は感じ始める。

  物語の断片2 静物平原
  ミライ・リングテルとルルフェルが辿り着いたタンガース平原では千年前、国を二分した争いがあった。30万の軍隊が対峙し、でも勝敗はつかなかった。何故ならその瞬間、<時空振動>が起きて人々はそのままの姿で静止してしまったから。今では観光名所になったそこを訪れ、ルルフェルはとある異物に気づく。

 短時間接着剤
 房総半島の奥地で、海田才一郎博士は日々、発明と研究に勤しんでいる。今日もお得意様が一人訪ねて来た。その少女は7時間しか保たない瞬間接着剤を買っていく。
 後日、特殊詐欺グループが一斉検挙された。誘き出された犯罪者たちが、次々何かにくっついていく怪現象で逃げられなかった。バイクだったり、床だったり、覚醒剤の入ったアタッシェケースだったり…。

  物語の断片3 海田才一郎の朝
  海田才一郎は自分が発明したぬいぐるみロボットを育てているが、どうもうまくいかない。今日も、祖母のカイダスズが書いた児童書「銀時計の冒険シリーズ」の話を始めたかと思えば、勝手に作った続きを語り出したり。自分のことはシグマと呼んで欲しいらしい。

 洞察者
 ギフテッドの「私」中松泰介は研究施設で育てられた。記憶力に優れた私はやがて、一目見ただけでその人物の背景やこれからするであろうことを洞察できるようになる。確率は60%、今日会った男は通り魔殺人を犯す可能性が高い。泰介は思わず男に声をかける、はじめはポテトチップスの食べ比べから、やがて南米へ行った方がいいというアドバイスまで。プレゼントされたぬいぐるみロボット シグマを相棒に。

  物語の断片4 ファンレター
  カイダスズに届いたファンレターには、一人の少女の見た夢の話が書かれていた。夢の中で彼女はルルフェルと言う名の吸血鬼で、ミライという男と旅している。それはAIロボット シグマが話す内容と酷似していた。

 ナチュラロイド
 人類が伝染病で半減し、さらに世界大戦が起こり、結果ナチュラロイドと名付けられた有機ロボットが社会を構成する王国が広がって行った世界で、「私」ナービは選ばれて王になった。まだ幼いナービに就けられた子守ロボット モックモンと共に毎日を過ごすうち、ナービは自分の両親が、先王オーマに虐殺されたことを知る。その傍にはいつも、シグマという白銀の女性型ナチュラロイドがいたらしい。

 円環の夜叉
 湖で溺れ死んだ筈の「ぼく」ラルスは、何故か生きていた。だが、生まれ故郷は記憶の中のそれと微妙に違う。ラルスの前に現れた女性はクインフレアと名乗り、ラルスは不老不死になったのだ、あれから80年が経っていると告げる。その後数百年。人間の中で過ごしてきたラルスは、息子の生まれ変わりだろう青年に出会う。彼も不老不死にしたい、とクインフレアに訴えるラルス。クインフレアは、この世界が八千年周期で滅びを迎え、もうすぐまたその時が来るのだと言う。

  物語の断片5 最果てから未知へ
  ルルフェルの元を一人の少女が訪う。ルルフェルと旅に出たいと、ミライの孫クインフレアが。…

 三崎亜記さんの、いかにも三崎さんらしい作品集を読んだ後の恒川さん。こちらもいかにも恒川さんらしい。
 『短時間接着剤』だけはちょっと異質だなと思いつつ(笑)。一方通行しかできない筈の世界が、後半どんどん交錯していく。次元鉄道で交ざった、と考えるべきなんだろうなあ。こうなるとラストの世界の壊滅も、箱庭だけのことなのか、現実も混ざったことなのか、何でもありになってくるんですが、酩酊具合も面白がるべきなんでしょう。現に、「おお、ここ繋がったか」と思ってしまったもんなぁ。
 ちょっと立ち止まって考えてしまった分、私は楽しみ損ねた所もあり。短篇それぞれはどれも面白かったです。