読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

読書 作家別か行

今宵、嘘つきたちは影の幕をあげる 紅玉いづき著 ポプラ文庫ピュアフル 2023年

『今宵、嘘つきたちは光の幕を上げる』との二部作。 少女サーカス創成期を描く。ネタばれあります、すみません; 第一幕 黄金のマリナ≪入団オーディション≫ 大地震から一年後、東京・湾岸エリアにはカジノと少女サーカスが誕生。その開発時、生徳会グループ…

今宵、嘘つきたちは光の幕をあげる 紅玉いづき著 ポプラ文庫ピュアフル 2023年

2013年に刊行された『ブランコ乗りのサン=テクジュペリ』を改題、加筆修正したもの。 ネタばれになってるかも、すみません; 未曾有の大地震が首都・東京を襲った後、復興の名目で湾岸エリアに大人の街――カジノ特区が作られた。そのうちのエンタテインメン…

サエズリ図書館のワルツさん2 紅玉いづき著 創元推理文庫 2023年

単行本の刊行は2013年。ネタばれになってるかな、すみません; 戦争(ピリオド)の影響と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、本を無料で貸し出すサエズリ図書館を舞台に、本を愛し本に…

サエズリ図書館のワルツさん 1 紅玉いづき著 創元推理文庫 2023年

連作短編集。ネタばれあります、すみません; 第一話 サエズリ図書館のカミオさん その日、上緒さんは朝から不運だった。星占いも血液型占いも最下位、せっかく作ったお弁当を忘れ、職場ではお局様に八つ当たりされた。帰りにファストフード店に寄ったら満車…

ありふれた金庫 北野勇作著 ネコノス文庫 2023年

たった百字で小説なんて書けるわけ、え? 書ける? 風情とか余韻を百字にギュッと詰め込んだ、珠玉のマイクロノベルたち。要らないものは文字の外へ追い出して、さぁ、名手・北野勇作による百字劇場の始まり始まり。 (裏表紙紹介文より) Twitter(今はXで…

先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます![鳥取環境大学]の森の人間動物行動学 小林朋道著 築地書館 2007年

本日も、大学は動物事件でにぎやかなり! 自然に囲まれた小さな大学で起きる動物たちと人間をめぐる珍事件を、人間動物行動学の視点で描くほのぼのどたばた騒動記。あなたの“脳のクセ”もわかります。 (帯文より) 以前、新聞の書評欄だったかで見て気になっ…

水 本の小説 北村薫著 新潮社 2022年

懐かしくて新しい物語の言葉が、映像や詩や短歌、歌のことばに結び合わされて光を放ち、豊かに輝き出す。向田邦子、隆慶一郎、山川静夫、遠藤周作、小林信彦、橋本治、庄野潤三、岸田今日子、エラリー・クイーン、芥川龍之介――思いがけなく繋がっていく面白…

迷子の龍は夜明けを待ちわびる 岸本惟著 新潮社 2021年

日本ファンタジーノベル大賞2020優秀賞受賞作。 ネタばれになってる気がします、すみません; 余命わずかな老人のために、天空語で書かれた日記を読んでやってほしい。唯一の身内の祖母を看取ったばかりで、糸が切れてしまったような状態になっていた天空族…

フィールダー 古谷田奈月著 集英社 2022年

ネタばれになってるかもしれません、すみません;迎え撃て。この大いなる混沌を、狂おしい矛盾を。「推し」大礼賛時代に、誰かを「愛でる」行為の本質を鮮烈に暴く、令和最高密度のカオティック・ノベル! 総合出版社・立象社で社会派オピニオン小冊子を編集…

たんぽぽ球場の決戦 越谷オサム著 幻冬舎 2022年

「ブンブン振って、ドタドタ走って、ポロポロ落として、でも最後まで、本気で勝ちに行きましょう!」 かつて「超高校級」ともてはやされたピッチャーだった大瀧鉄舟は肩を壊して野球の道をあきらめ、人生そのものが停滞したまま20代半ばを迎えてしまった。そ…

せどり男爵数奇譚 梶山李之著 ちくま文庫 2000年

単行本はは1974年出版。 第一話 色模様一気通貫(いろもよういっきつうかん) 昭和49年の雨の夜。銀座のバーで出会った紳士 笠井菊哉は「せどり屋」だった。せどり男爵とあだ名される彼の半生、古書に興味を持った切っ掛けや、古家で焚きつけに使われていた…

15秒のターン 紅玉いづき著 メディアワークス文庫 2022年

短編集。 ネタばれになってるかも、すみません; 15秒のターン 「梶くんとは別れようと思う」――平凡でどこにでもいる男の子、そしてちょっとないくらい怒りっぽいお人好しな梶くん。告白して付き合い始めたけど、梶くんの生徒会の仕事が忙しすぎて、つきあっ…

中野のお父さんの快刀乱麻 北村薫著 文藝春秋 2021年

文芸誌『文宝』編集部に勤める田川美希が出会う文学上のエピソードあれこれに、彼女の父親が答えを出していく『中野のお父さん』シリーズ3作目。 ネタばれになってるかも、すみません; 大岡昇平の真相告白 大岡昇平の『武蔵野夫人』について。元々は『武蔵…

100文字SF 北野勇作著 早川書房 2021年

2015年10月より、著者のツイッターで発表されている「ほぼ百字小説」約二千篇のなかから、二百篇を精選したもの。 おはなしの卵、のような感じ。不思議なことを色々並べて連想して、ここから大きなお話になっていくのかも。場所が飛び、時間が飛ぶ。次元も。…

雪月花 謎解き私小説 北村薫著 新潮社 2020年

本と本とが響き合い奏でる音を愛でる日々。読書愛あふれる初の私小説。解決のない疑問は、解毒剤のない毒薬のようなものだ――どうして! なぜ? と謎は深まる。 江戸川乱歩、三島由紀夫、芥川龍之介、山田風太郎、福永武彦……小説、俳句、詩歌に音楽、小沢昭一…

四角い光の連なりが 越谷オサム著 新潮社 2019年

短編集。 やまびこ東京駅発のやまびこ号で一ノ関駅に迎いながら、「僕」は過去を思い出す。小さな子供のいる家族連れを見て自身の小さい頃や高校での修学旅行を、新卒らしい女の子を見て自分の最初の職場とその挫折、父親との仲違いを、老夫婦を見て再就職と…

神前酔狂宴 古谷田奈月著 河出書房新社 2019年

神社の結婚披露宴会場で働く浜野、梶、倉地―配膳スタッフとして日々披露宴の「茶番」を演じるうちに、神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知り…。 結婚、家族、日本という壮大な茶番を切り裂く圧巻の衝撃作! (帯文より) 浜野は高堂神社に併設された…

中野のお父さんは謎を解くか 北村薫著 文藝春秋 2019年

連作短編集。シリーズ2冊目。 ネタばれになってるかもしれません、すみません; 意外な当て逃げ犯、文豪同士の喧嘩、病床の夫が呟いた言葉の意味。編集者の娘が職場や本の中で出合う謎を父が解く、好評シリーズ。 日常の謎も文豪の謎もコタツ探偵が名推理!…

謎解き『風と共に去りぬ』 矛盾と葛藤にみちた世界文学 鴻巣友季子著 新潮選書 2018年

それは時代の先端にして、生まれながらの古典だった。 『風と共に去りぬ』は恋愛小説ではない。分裂と融和、衝突と和解、ボケとツッコミ――高度な文体戦略を駆使して描かれたのは、現代をも照射する壮大な矛盾のかたまり。 全編を新たに訳した著者ならではの…

厨師、怪しい鍋と旅をする 勝山海百合著 東京創元社 2018年

連作短編集。 優れた厨師を輩出することで有名な斉家村に生まれた見習い料理人・斉鎌(さいれん)は、ある日茸を採りに入った山で、桃源の李と名乗る見知らぬ男から、不思議な鍋を借り受ける。しかしそれは煮炊きをしないでいると腹を空かして動物や人間を襲…

その先には何が⁉ じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説 北野勇作著 キノブックス 2018年

なんだろう、この胸さわぎ……。 子どもの想像力をかき立てる100字の奇妙な物語集! 著者のルーティンワークであり、Twitterでウワサの【ほぼ百字小説】が初の書籍化。 掲載作130本は、1000作以上の作品から厳選! いつでもどこにでも持ち歩ける正方形に近いコン…

青少年のための小説入門 久保寺健彦著 集英社文庫 2018年

「すげえの書いて、デビューしようぜ」 落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み! ? 小説家を目指すデコボココンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。 小説家となった入江一真(かずま)のもとに、一枚の葉書が届く。とぎれとぎれの字…

まれびとパレード 越谷オサム著 KADOKAWA 2018年

短編集。ネタばれあります、すみません; 人生を変えてくれたのは、人間ではない何かでした――。 ゾンビ、座敷わらし、泥田坊、邪鬼――。 彼らに出会ったら、何だか少し、変わるかも!? 『陽だまりの彼女』の越谷オサム最新作。 (帯文より) Surfin’ Of The De…

無限の玄/風下の朱 古谷田奈月著 筑摩書房 2018年

短編二編収録。第31回三島由紀夫賞受賞作、第159回芥川龍之介賞候補作品。 ネタばれになってる気がします、すみません; 無限の玄 その日、家に帰ると父が死んでいた。 父・玄と叔父・喬、兄・律と従兄弟の千尋と自分とで組んでいるブルーグラスバンドのツア…

隣のずこずこ 柿村将彦著 新潮社 2018年

日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作。 ネタばればりばりあります、出たばかりの本なのにすみません; 矢喜原村(正確には町)。中学三年の同級生は4人しかいない、高校生になったら隣町で一人暮らしをしなければいけない位の田舎町。この町に、5月、「…

小萩のかんざし いとま申して3 北村薫著 文藝春秋 2018年

作家・北村薫が、父の死後に遺されていた膨大な日記を考証、再生。 ミステリ作家・本の達人としての腕を存分に振るいつつ、無名の一青年の目を通した昭和初期の歴史的シーンを繊細に愛情深く甦らせた三部作の完結編。 ドイツではヒトラー内閣が成立し、三月…

房総グランオテル 越谷オサム著 祥伝社 2018年

ネタばれあります、すみません; 海辺の民宿に季節はずれのお客さんが運んできたのは――二泊三日の素敵な奇跡! ようこそ、わが愛しのグランオテルへ! 東京から特急列車でわずか一時間二十分、青い海と月色の砂浜が美しい南房総・月ヶ浦。この町で生まれ育っ…

望むのは 小谷田奈月著 新潮社 2017年

連作短編集。 ネタばれというか、思わせぶりな記述あります、すみません; 十五歳。若い人間として生きられる、これが最後の一年だ。歳を取るのが怖い小春は、隣に越してきた同い年の歩くんと出会う。彼はバレエダンサーで、おまけにお母さんはゴリラなのだ…

キアズマ 近藤史恵著 新潮社 2013年

『サクリファイス』シリーズ4作目。 ふとしたきっかけでメンバー不足の自転車部に入部した岸田正樹。たちまちロードレースの楽しさに目覚め、頭角を現す。しかし、チームの勝利を意識しはじめ、エース櫻井と衝突、中学時代の辛い記憶が蘇る。二度と誰かを傷…

八日目の蝉 角田光代著 中央公論新社 2007年

本当に顔を見るだけのつもりだった。不倫相手の家庭の赤ちゃん、でも一人泣き叫んでいるのを見たら、抱いたら泣き止んで笑ったのを見たら。希和子は赤ん坊を連れて逃げ出した。 友人の家へ身を寄せた後、名古屋へ。立ち退きを勧告されている地区の老女と共に…