英国での出版は2012年。
アメリカで育った「わたし」マーガレット(マギー)・ホープが、今は亡き祖母の古屋敷処分のためにロンドンで暮らし始めて一年余り。その間、この国はナチス・ドイツと開戦し、チャーチルが首相になり、そしていま、空襲の時が迫っていた。そんな折、首相官邸(ナンバーテン)での職の話が舞い込んで来る。数学の能力を活かせる秘書官ではなく秘書としてのオファーだが。女性にタイプとファイリングしか任せようとしないこの国に苛立ちを感じながらも、マギーはその誘いを受け入れる。官邸を取り巻くいくつもの謀略が、待ち構えていることなど知る筈もなく。
ナチス・ドイツの侵攻のどさくさに紛れて、IRA(アイルランド共和軍)がテロ計画を推し進める。官邸の機密を知ろうとスパイが横行し、それを探るMI-5の影がちらつく。マギーが知らない所で、マギーの動向が取り沙汰される。叔母が隠していたのは祖母の存在だけではないようだ。
才気煥発なマギーが体当たりで陰謀に挑む、魅力のシリーズ開幕編。
(中表紙の紹介文に付け足しました)
年末年始、岡田斗司夫さんのYouTubeで紹介されていて興味を持った本。図書館で検索してみると、数名の順番待ちになっていました。…市内に同士の皆さんがいのかな(苦笑;)。皆さん借り終わった後に、手に取りました。
第二次世界大戦中のイギリスが舞台。確かに色々知らないことだらけでした。食糧が配給制だったとか、防空壕自宅の庭に手製で設置してたとか、動物園の動物も疎開したとか。アイルランドへの迫害が、近年に渡ってもあんな形で続いていたとか。…と言ってもこの近年はこの劇中での近年なんですが。女性蔑視の傾向も、アメリカよりイギリスの方が酷かったよう。今の価値観で読むとなかなかにハラが立ちます(苦笑;)。
前半はそんなに動きはなかったのに、後半はアクション満載に。映画のような展開は意識して書かれてるのかな、私としては「ああ、こうなっちゃうんだ」みたいな感想になってしまいました(苦笑;)。