読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

胡蝶の失くし物~僕僕先生  仁木英之著  新潮社  2009年

 僕僕先生シリーズ三冊目。

 職業兇徒 闇に囚われた者:
 御史台の暗殺者集団・胡蝶の一員劉欣は、僕僕と王弁の暗殺を命じられた。僕僕一行は桂州始安で流行病の治療に勤しんでいる最中。毒の吹き矢で彼らを狙った矢先、劉欣の護符にひびが入る。どうやら劉欣を育ててくれた母親が、同じ病で苦しんでいるらしい。僕僕の薬なら治るだろう、だがそれは組織を裏切ることにつながるのではないか。劉欣には仲間も両親もどちらも大切だった。

 相思双流 せっかちな女神:
 桂州を南に流れる漓江のほとりで、薄妃は一人の少女と出会う。河の神・劫鰓と名乗り、薄妃に気を与えてやるから想い人の許へ行けと言う。薄妃は喜んで飛ぼうとするが、どうもある山寺に引きつけられる。どうやら劫鰓の想いが薄妃の気の中に残っているらしい。

 主従顛倒 夢に笑えば:
 桂州のさらに南、賀州の臨賀城にて。薬種屋の主人・周典は夢見が悪くて悩んでいる。普段辛く当っている奉公人の老人・趙呂に、夢ではこき使われているのだとか。元々趙呂は周典の父親の代からの働き手で、昔は仲睦まじかったらしい。治療を頼まれた王弁は、僕僕の薬で周典の夢に入る。そこには店主の趙呂とその妻がいた。

 天蚕教主 惑う殺し屋:
 梧州蒼梧の城に招待された僕僕一行。そこに現れたのは面縛の道士、以前の行いを謝り、王弁が仙骨を得る方法を教えよう、と言い出す。蚕室に連れ込まれた王弁は、そこで巨大な蚕・蚕蛾と対面する。一方、まだ一行の後をつけていた劉欣は僕僕に見つかり、道士を吹き矢で撃つよう命じられる。

 回来走去 誰かのために流す涙:
 蚕嬢の糸で織った衣服を着て、いよいよ薄妃は想い人の許へ飛ぶ。そこで見たものは、今まさに結婚式をあげる男の姿だった。薄妃は劉欣に、男と相手と、自分も殺してくれと頼む。

 恩讐必報 失くし物、見つけた物:
 大陸の南端広州で、僕僕一行はかつて喧嘩を仲裁してやった苗族の双子の青年と再会する。招かれて彼らの商館に泊まった夜、館は襲撃を受ける。背後には胡蝶の気配、苗の内輪もめに便乗して僕僕を亡き者にしたいらしい。劉欣が仙骨の力を掴む一方、蚕嬢が苗族の神姫として言葉を発する。王弁は哨吶を吹き鳴らし、薄妃が結界の要を壊す。僕僕と共に吉良に乗って大空へ飛び立つ。…

 新しい仲間が続々登場。仙骨を持つ劉欣、過去を話したがらない蚕嬢、薄妃は旅の仲間から離脱するかと思いきや、また舞い戻ってしまいました。彼女の過去もいずれ繋がるのかな。今回は僕僕や王弁より、周りを取り巻く人たちの挿話でしたね。その分いちゃいちゃは減りました(笑)。
 道士の正体は謎のまま、僕僕が狙われる理由も「次回へ続く」。船に乗って異国へ行く雰囲気ですけど、まだ狙われるんでしょうか。…先は長そうだなぁ。