読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

読書 作家別さ行

因果の刀 金春屋ゴメス 西條奈加著 新潮社nex 2023年

『金春屋ゴメス』シリーズ3冊目。ネタばれになってるかも、すみません; 江戸国からの阿片流出事件について、日本から査察が入った。メンバーは大御所議員の印西茂樹を団長として、ゴメスを敬愛する科学者の名瀬、時代劇オタクのサンジープ・クマールに印西…

酒見賢一さん

ネットで訃報に出くわしました。 何人もの方が言ってらっしゃることですが。 日本ファンタジーノベル大賞、第一回目に酒見賢一さんが『後宮小説』を応募していなかったら。 日本のファンタジーは今のような盛況を呈していたか。少なくとも、中華風ファンタジ…

チャンバラ 佐藤賢一著 新潮社 2023年

有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらには――。最後の難敵との死闘を終えた宮本武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではないな。ただのチャンバラにすぎん……。直木賞作家の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との…

隠居おてだま 西條奈加著 角川書店 2023年

シリーズ2冊目。ネタばれになってるかも、すみません; 老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めた。風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわい。勢い、その騒動にも巻き込まれる。 勘七・…

下鴨アンティーク アリスの宝箱 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2018年

シリーズ最終巻、番外編。 鶯の落とし文 糺の森で『鶯の落とし文』を探している老人に会った幸。今は亡い婚約者の、プロポーズの返事を待っているという。折も折、良鷹は骨董店『如月堂』から、曰く付きの笄を預かって来た。梅に鶯の図柄のはずなのに、鶯が…

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2017年

シリーズ7冊目。 雛の鈴 鈴の音がする帯がある。片側は手毬、もう片側は立ち雛の刺繍。持ち主は祖母の女学校時代の同級生らしい。連絡を取ると、祖母とは関わりたくない、とけんもほろろ。彼女は母のものだった帯を忌避していた。なかなか子供が授からなか…

一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集 澤村伊智著 宝島社 2023年

掌編集。 名所 「うちのマンションは自殺の名所や」と語る少女。住人ではない人が次々にB棟13階から14階の踊り場から飛び降りて行くのだとか。 みぞ サッカーボールを取りに入った少年が行方不明になった、との噂がある側溝。今日、罰ゲームでその側溝に入ら…

彼女が言わなかったすべてのこと 桜庭一樹著 河出書房新社 2023年

ネタばれになってるかも、すみません; 小林波間、32歳。2019年9月の終わり、御茶ノ水駅近辺の雑踏で通り魔の犯行を目撃した。現場で偶然、大学時代の友人 中川甍と再会する。 そのまま連絡先を交換して別れた後、もう一度会おうと約束して、でもそれは叶わ…

とりどりみどり 西條奈加著 祥伝社 2023年

連作短編集。 螺鈿の櫛 万両店の廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介は、齢十一にして悩みが尽きない。かしましい三人の姉――お瀬己・お日和・お喜路のお喋りや買い物、芝居、物見遊山に常日頃付き合わされるからだ。遠慮なし、気遣いなし、毒舌大いにあり。三…

さえづちの眼(まなこ) 澤村伊智著 角川ホラー文庫 2023年

中編集。 ネタばれになってるかも、すみません; 母と 「鎌田ハウス」と呼ばれる田舎の施設に行くことになった塩貝琢海。「おっさん」こと鎌田滋を中心に、いわゆる問題のある子供たちと共同生活を送る。みんなで家事を分担し、学校へ行く者は通学し、近所の…

下鴨アンティーク 暁の恋 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2017年

シリーズ6冊目。 椿心中 仲人が趣味の雨森富江が、鹿乃に青年を紹介してきた。だが、彼 佐伯稜一の目的は、鹿乃の蔵の着物にあった。紅白の椿を描いた振袖、大伯母の誂えたそれは、みるみる枝から落ちて行く。かつて大伯母は心中事件を起こし、その妹で稜一…

下鴨アンティーク 雪花の約束 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2016年

シリーズ5冊目。 星の糸 鹿乃の家を訪ねてきた男は、幼馴染みの女性を探していた。彼女――志織は婚約者に手酷く裏切られたばかり、そんな時に聞いた祖母 依子の遺言に順じて鹿野の家に預けられた着物を見に来た筈だという。どうやら志織は、祖母の実家跡など…

うさぎ玉ほろほろ 西條奈加著 講談社 2022年

シリーズ3冊目。連作短編集。 饅頭くらべ 最近南星屋の馴染みになった男 鹿蔵は、武家屋敷に中間として奉公しているという。参勤交代に従って諸国を訪れ、その地の菓子を食べ歩いているとのこと、旅好きの治兵衛と気が合って、治兵衛が作る名物菓子の監修な…

ばくうどの悪夢 澤村伊智著 角川書店 2022年

ネタばれあります、すみません; 「眠れば、死ぬ」 東京から父の地元 川西に引っ越してきて以来、悪夢に悩まされていた「僕」は、現実でもお腹に痣ができていることに気づく。僕だけでなく、父親の友人の子供たちもみな現実に干渉する悪夢に苦しめられていた…

下鴨アンティーク 神無月のマイ・フェア・レディ 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2016年

シリーズ4冊目。 星の花をあなたに 桔梗柄の薄物の着物から、桔梗の花が零れ落ちていく。元の持ち主雨森絢子はもう亡くなっていたので、その遺族や介添人を鹿乃は訪ねた。絢子は脚が悪く、長く寝たきりだったらしい。雨森家に嫁ぐまで、実家の庭を眺めるこ…

下鴨アンティーク 祖母の恋文 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2015年

シリーズ3冊目。 金魚が空を飛ぶ頃に 梅雨の時期、鹿乃は行きつけの喫茶店〈オー・ルヴォワール〉の店主 満寿から金魚柄の着物の具合を訊かれた。蔵にあったそれは、何十年も前、満寿の元の恋人が置いていったものだと言う。羽衣と名付けられ、赤い金魚が青…

首取物語 西條奈加著 徳間書店 2022年

連作短編集、になるのかな。 ネタばれあります、すみません; 第一話 独楽の国 記憶のないまま、少年はそこにいた。覚えているのは「おふう」という名のみ、切り立った崖に挟まれた小道で、そこにいる男から何度も何度も握り飯を引ったくり続けている。何十…

よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記 西條奈加著 東京創元社 2022年

シリーズ4冊目。神楽坂で履物屋を営む元芸妓のお蔦さんと、その孫で高校生の望の周りで起こる出来事を描いた連作短編集。 よろずを引くもの 神楽坂商店街で、万引きの被害が多発している。対応策もままならない中、犯人を引き留めようとして、和菓子屋「伊万…

怪談小説という名の小説怪談 澤村伊智著 新潮社 2022年

短編集。ネタばれあります、すみません; 高速怪談 東京から大阪まで、自動車に乗りあって帰省することになった。ほぼ初対面の四人で夜中の高速道路を走り、うちの一人が「女性の顔が浮かんだ」とイラストをしたためたことから、怪談に花が咲くことに。それ…

紅だ! 桜庭一樹著 文藝春秋 2022年

異国情緒あふれる新大久保に構える「道明寺探偵屋」。真田紅は、事務所に飛び込んで来た少女ハイタカこと冴木雛月にボディガードを依頼される。 同じ頃、相棒の黒川橡は公安の藤原から、偽札事件の調査を頼まれていた。最初は断るつもりだったのに、知り合い…

よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる 佐藤賢一著 集英社 2021年

イスラエルとパレスチナの衝突。世界各地で勃発するテロ。その背景の根深い宗教問題――。同じエルサレムを聖地とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教をめぐる約三千年を追いながら、日本人がわかりにくいと思われるポイントを整理し質問形式で世界史を読み…

六つの村を越えて髭をなびかせる者 西條奈加著 PHP研究所 2022年

本当のアイヌの姿を、世に知らしめたい―― 時は江戸中期、老中・田沼意次が実権を握り、改革を進めていた頃。幕府ではロシアの南下に対する備えや交易の促進などを目的に、蝦夷地開発が計画されていた。 出羽国の貧しい農家に生まれながら、算学の才能に恵ま…

47歳、まだまだボウヤ 櫻井孝宏著 KADOKAWA 2021年

デビュー25周年を迎えた声優が初めて綴った“肉声" 『おそ松さん』(松野おそ松)、『鬼滅の刃』(冨岡義勇)、『呪術廻戦』(夏油傑)、FINAL FANTASY VII REMAKE』(クラウド・ストライフ)、など人気作に多数出演しながらも、SNSを一切やらず謎に包まれた47歳アナ…

少女を埋める 桜庭一樹著 文藝春秋 2022年

2021年2月、7年ぶりに声を聞く母からの電話で父の危篤を知らされた小説家の「わたし」は、最期を看取るために、コロナ禍下の鳥取に帰省する。なぜ、わたしの家族は解体したのだろうか?――長年のわだかまりを抱えながら母を支えて父を弔う日々を通じて、わたし…

怖ガラセ屋サン 澤村伊智著 幻冬舎 2021年

連作短編集。 ネタばれになってるかも、すみません; 第一話 人間が一番怖い人も 「俺」も妻も、幽霊より人間が怖い、と思っている。ある日会社の後輩が婚約者を連れて遊びに来た。怪談ライブで知り合ったという二人、試しにと語り始めた内容は、とある学習…

邪教の子 澤村伊智著 文藝春秋 2021年

ネタばれになってる気がします、すみません; 光明が丘ニュータウンに住む祖父母の家に同居するため、引っ越して来た茜ちゃん。彼女の母親はとある新興宗教にハマって娘を監禁、暴力をふるっていた。家族も手を出せない状況の中、同級生の慧斗は祐仁と朋美と…

婿どの相逢席 西條奈加著 幻冬舎 2021年

小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、相思相愛のお千瀬の生家、大店の仕出屋『逢見屋』にめでたく婿入り。誰もが羨む逆玉婚のつもりが…… 「鈴之助、今日からはおまえも、立場上は逢見屋の若主人です。ですが、それはあくまで建前のみ。何事も、最初が肝心ですか…

吸血鬼 佐藤亜紀著 講談社 2016年

独立蜂起の火種が燻る十九世紀のポーランド。その田舎村に赴任する新任役人のヘルマン・ゲスラーとその美しき妻・エルザ。この土地の領主は、かつて詩人としても知られたアダム・クワルスキだった。赴任したばかりの村で次々に起こる、村人の怪死事件――。そ…

桜庭一樹のシネマ桜吹雪 桜庭一樹著 文藝春秋 2021年

目を凝らせ、魂をみつけろ――少女とヒーローと無数のifに満ちた映画ワールドがここに。 ・音楽の神さま、あの娘を助けて 『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』・老いたるロッキーは神話的英雄だ 『クリード チャンプを継ぐ男』・SMとは「神の子」を造る戦い 『フィ…

最終飛行 佐藤賢一著 文藝春秋 2021年

サン=テクジュペリは作家であり、飛行士だった。 ナチスドイツによってパリが占領され、アメリカに亡命した彼は、イギリスに逃げたドゥ・ゴール派にもナチスドイツに言いなりのヴィシー派にも与しなかったため、亡命フランス人たちの間で批判を浴びる。そん…