読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

走無常 田中芳樹著 講談社 2024年

 連作集。ネタばれ…になるのかな、あります、すみません;

 走無常
 クロネコ、キジネコを連れた育ちのよさそうな少年が一人、関東地方のとある都市に降り立った。その地方の教育委員長を務めた人物が、死後蘇り、その後精力的に政界に乗り出そうとしているという。少年は冥府からの指示で、この世にいる死者を取りしまる「走無常」だった。

 走無常2 緑毛鬼(りょくもうき)
 今回の死人は飛鳥井英道、資産家の息子だったがヘロインで中毒死したのに起き上がっているという。叔母の京(みやこ)の指示の元、英道のマンションを訪ねたところ、英道の体には緑毛が生えていた。どうやら英道は、何者かの呪力によって動かされている被害者らしい。事件の裏には、莫大な資産を巡る老主人の目論見が隠されていた。

 走無常3 役鬼咒(えききじゅ)
 テーマパークのお化け屋敷に、本物のお化けが出るらしい、依頼を受けて瞠(みはる)と京が行ってみると、果たして黒い気のかたまりが人々を襲っている。本来陽気な場所に出る筈のない幽霊がでたことに、瞠は疑問を抱く。オーナーに不満を持つ誰かが、呼び出したのではないだろうか。

 走無常4 偸尸怪(ちゅうしかい)
 金融工学者で投資家の漆田光紀が死んだ。五人もの愛人に囲まれて暮らしていた彼は生前、生き返りを目論んで、かかりつけの医師と対策を練っていたらしい。生贄となる秘書も用意していたが、瞠は忍び込んで死体の周りに硫黄を撒いて、計画を台無しにしてしまった。医師と秘書の間で、仲間割れが生じる。 

 走無常5 天怪地奇人妖(てんかいちきじんよう)
 三年前に死んだ代議士が、息子の体に乗り移った。潜入先で瞠は、宙から現れた少年 竜堂終と知りあう。空間が綻んでいくつもの異界が通じ合い、神怪妖魔が出没、竜堂四兄弟が群魔退治に協力してくれた。瞠は京と共に代議士と渡り合う。…

 田中芳樹、新シリーズ…という訳ではないようで。
 中国の故事伝奇に着想した作品。最初の四編は、中国にはそんな民話というか神話というか言い伝えがあるのね、と楽しく読ませて頂きました。退治方法にしても色々あるんですね~。
 五話目の中編でびっくり。田中芳樹の読者にはすっかりおなじみの登場人物が出て来て、勿論その後残りの三兄弟も。ちょっと嬉しかったのも束の間、…あれ? 何かどたばた具合が破綻してない…??
 瞠、いつのまに京姐さんと別れたの? で、また合流して、結局決定打撃ったの京さん…?? この「何だこれは?」具合は、過去に味わったことがある気が…(苦笑;)。
 奥付を見ると、第一話が1997年で二話目が1996年、2005年、2008年と続き、第五話が書き下ろしらしく、随分長期に渡ったシリーズだったんですね。何だか田中さんの変容具合が見て取れるような…;
 田中さん、今の日本のありように物申したくて書き下ろししたのかな。で、そういう場合は、やっぱり竜堂四兄弟に言わせ易いんでしょうね(苦笑;)。流行りのアニメや漫画もちゃんとチェックしてらっしゃる様子(笑)、とりあえず、久しぶりに四兄弟に会えたのは嬉しかったです。