読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

死者は黄泉が得る 西澤保彦著 講談社ノベルス 1997年

 お久しぶりの西澤保彦作品。
 ネタばれになってるかな、すみません;

 その屋敷には死者が住んでいた。訪れて来た人物を次々に殺し、SUBRE(サブレ)に放り込んで“蘇生”させ、MESS(メス)にかけて、そこで暮らしていくのに必要な分だけの知識以外は白紙にする。
 自分の名前も素生も覚えていない、ただほぼ機械的に同じ行為を繰り返していたのに、7人目の女が現れてその状況は変わった。クリスティン・チェイスと名乗った女は、SUBREにかけても蘇生しなかったのだ。
 装置が故障したのか、誰が修理できるのか。そもそも最初の一人は誰なのか。屋敷に緊迫した空気が流れる。
 隣町では連続殺人事件が起きていた。
 マーカス・ニューボーン、ジュディ・フェイバ、タッド・オースティン、スタンリー・フリーマン、クリスティン・ジョーダンの5人が日本食レストランで同窓会を開いた深夜、クリスティンの弟フレッド・チェイスが殺された。自宅ではなく誰もいない姉夫婦の家で。撲られた上絞殺される寸前、フレッドはマーカスに電話をしている。周囲には怪しいトレンチコートの痩せた男と、三つ編みの女が目撃されていた。
 クリスティンを慰めに来たジュディがトレンチコートのベルトで絞殺され、助けに来たスタンリーが撃たれて重傷を負った。マーカスは殴られた拍子に倒れた打ち所が悪く、半身不随となった。
 クリスティンはトレンチコートの男が高校時代の同級生ワイズマンだと主張。彼が犯人だと警察に訴えるが、警察は動かない。入院中のスタンリーが殺されるに及んで、クリスティンはワイズマンを、夫・ジェイクの嫉妬心を煽って殺させようと決意する。だが結局、クリスティンはワイズマンもジェイクも殺してしまう。
 その頃、フレッドに恋していた三つ編みの女・ミシェルを、タッドが襲っていた。返り討ちに会い、タッドが殺される。逃走するミシェルは、クリスティンの車に乗り込んで来た。…

 そうか、こう来たか、という結末。すっかり騙されました。
 MESSだのSUBREだの、誰が作ったのかとか関係ないんだね。本当に設定だけの問題。新本格はこれでいいんだね、何だかちょっと目から鱗(笑)。
 後書きで作者御本人も書いてましたが、映画『永遠に美しく』を私も連想しました。