読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

人格転移の殺人 西澤保彦著 講談社ノベルス 1996年

 ネタばれあります、すみません; 

 舞台はアメリカ、カリフォルニア州。宇宙人が作ったのか、第二の都市(セカンド・シティ)と名付けられた不思議な部屋。この部屋に入った複数人は、互いに人格が入れ替わってしまう。三人以上の場合は時計回りに順々に人格が移動して行く。
 CIAによる研究がストップし、部屋がそのまま封鎖されて20年。大地震のためその部屋に、シェルターと勘違いした男女6人が入り込んでしまった。
 16歳の気のいい黒人少年・ボビイ・ウエッブ。
 アラビア系、片言の米語を話す美男子・ハニ・シャディード。
 米語は不自由だが日本語は堪能なフランス人・アラン・パナール。
 嫌味なほどのクィーン・イングリッシュを話すアッシュブロンドの美女・ジャクリーン・ターケル。
 南部訛りの米語を話す禿頭の初老の男・ランディ・カークブライド。
 そして、一番癖のない米語を話す日本の商社マン・苫江利夫。
 アランと一緒にいた日本人女子学生・窪田綾子は、部屋の外で死んでいた。部屋に避難する前に、崩れ落ちた天井の下敷きになったらしい。だが、首を絞められた痕もあったことから、6人の間に緊張感が走る。
 CIAの要人に、国家の重要機密を知った以上自由な人生は過ごせない、これからの身の振り方を考えろ、と隔離された6人。何も話し合えないまま朝を迎えると、また人格が違う肉体に宿っている。繰り返される人格転移が本来の順番と違うことに気づき、江利夫は戸惑う。しかも自分を殺そうと襲って来る奴がいる。壮絶な死闘の末、結局ジャクリーンと江利夫だけが、人格も肉体も生き延びた。落ち着いた後で二人は考える。自分たちを襲った“人格”は誰だったのか。動機は何か。窪田綾子の死はどう関わってくるのか。…

 お久しぶり、の西澤保彦さん。これも滅多に行かない中央図書館の書庫の中から出して貰って借りて来ました。随分間が空いたのは、『7回死んだ男』がとにかく面白すぎまして; 何かあれで満足してしまったような…;;
 いやいや、と気合を入れて(?)読んでみました。
 …ややこしいわ; 
 一応ね、「あれ?」とか思った訳です。あの子本当は生きてるんじゃないの、とか察しはついたんですが、順番だの何だの、頭がついて行かず;; 途中で考えるのを止めてしまいました。あのまま考えてりゃよかった、と少し思ったり。…ってそうか、もしかして作者の策略!?(笑)。いや、おかげで楽しめたんですけどね、設定の説明だけでほぼ半分を費やしてるもんなぁ。事件が起きてからはあっと言う間でした。読書速度もばりばり上がったし。
 弓月光さんの漫画からヒントを得た作品だそうですね。私は『エリート狂走曲』が好きだな~。
 …しかし、大森望さんの解説、20ページは長いと思う;;