読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

鬼仙 南條竹則著 中央公論新社 2006年

 中国のお伽噺をベースにした短編集。

 鬼仙
 南宋の時代、主簿廨と呼ばれる官舎に住みついた鬼仙・英華との逸話の数々。情を通じた官吏に薬を渡したり、英華を退治しようとした官吏を酷い目にあわせたり、真面目すぎる官吏と最初は対立したものの、後には力を合わせて真の殺人犯を暴き、名石「瓢石」を守ったりする。 

 夢の女
 見えざる神霊を降ろす“扶乩”で瑶官花史と名乗る仙女を降ろしてしまった展成。詩作に秀でた彼女と楽しい日々をすごすうち、彼女に印を作ってやりたくなって来た。他人には見えない彼女を連れて、趣味人の老人の家に様々な印を見せて貰いに行くと、そこに幽女が立っている。老人に縁のある幽女を一目引き合わせてやりたいと仙女は言い出す。

 犬と観音
 吾輩は犬である。前世は役人。観音寺でお供えなどをお裾分けして貰って生きて来たが、ある日大量の疫神が飛んで来るのを見てしまった。疫神が来ると病が流行って、町中の人が死んでしまう、自分の餌も無くなってしまう。観音様の勧めに従って百毒老人と呼ばれる仙人を訪ねた犬は、酒や醤油を調達するよう言いつけられる。仙人は疫神を退治するために必要だと言うのだが…。

 小琴の火鍋
 朱小琴は母親を亡くし、引き取られた女将に厨娘として仕込まれた。女将が田舎に帰ったため再就職した美食家・姚方先生の家には、もう既に気難しい料理人・王三がいる。ついついお喋りがすぎる小琴は王三に怒鳴られること数回、姚方先生の奥さんの機嫌も損ねるが、その料理の腕で皆に認められて行く。

 唐山奇談
 施しをした老女から貰った画の中の若者と恋をする 『永娘配主翠雲洞仙人』
 宮中から流れて来た紅葉に書かれた詩に心奪われる学生・干祐。返歌をやはり紅葉にしたためて小川に流し、届かぬ恋心を見知らぬ官女に伝えようとする 『韓夫人題葉成親』
 扶鸞の術で神を降ろそうとした学生たち。だがやって来たのは酒鬼(よっぱらい)の趙で… 『趙酒鬼』

 仙女と温泉に入りそこねる話
 驪山に絶句二首を書き残した張兪。それが太真妃の目に止まり、夢の中で彼女と会えることに。だが「福分がない」とかで、仙界の珍味も食べられず、太真妃と温泉に入ることも、閨を共にすることもできない。…

 相変わらず美味しい物満載。『小琴の火鍋』なんてまんま『美味しんぼ』だもんなぁ、人間美味しい物が食べられたらみんな満足、どんな問題も円満解決(笑)。
 全てが軽くてユーモラス、するすると読めました。今いち尻切れトンボな話もあるけど、種本がそうだから仕方ないですね。
 …しかし、中国ものは漢字を出すのに苦労するわ;;