読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

白ゆき姫殺人事件 湊かなえ著 集英社 2012年

 ネタばれになってるかもしれません、すみません;

 化粧品会社の女性社員が黒こげの遺体で発見された。被害者三木典子が美人だったことと勤め先の看板商品の名前から「白ゆき姫殺人事件」と呼ばれるようになったこの事件に、週刊誌のフリー記者 赤星は巻き込まれるように関わっていく。
 事の初めは高校の同級生が被害者と同じ会社の後輩だったこと。被害者に色々面倒見て貰っていたと言う彼女 狩野里沙子は深夜に何度も電話を掛けて来て、三木典子の人柄や会社での人間関係、奇妙な嫌がらせ事件等、噂話をまき散らした。
 興味を持った赤星は、独自に調査を始め、やがて三木と同期の女性社員 城野美姫に焦点を当てた記事を書く。事件以来、行方不明になっている彼女。つきあっていた男性を、三木に取られた過去があるらしい。事件現場に三木を車で送っていた、との目撃証言も出てくる。慌てたように立ち去る姿も。同僚、親、彼女の友達や故郷の人々等、インタビューするうち、誰もが「彼女が犯人かもしれない」との結論に辿り着く。最初は皆「彼女はそんなことをする人ではない」と言っていたのに。
 ネットでは本名がばらされ、憶測で動機が語られる。故人のプライベート情報も晒された。善意からの行動でも、悪意をもって拡散される。三木典子を殺した犯人は本当に彼女なのか。…

 …イヤな話だなぁ。品のない人間が多すぎて。
 同級生が、彼女を救いたいと思ったからだと言っても、本名をネットにあげてしまうとか、ネットリテラシー無さすぎてかえってリアリティがないような。それとも出版時2012年では、そんなことも常態化してたんだろうか。記者相手に交際相手の性癖バラすとか、ぞっとしましたね。普通に考えたら「父親の浮気相手に似てたから」って理由で殺人までする訳ないのに、そこに発想が飛んでしまうお母さんって、で、いくら後ろめたかったからってそれを窘めないお父さんって、そりゃ縁切りたくもなるわ。赤の他人ではなく、身内だったり友達だったりから出てくる言葉や行動の方が、善意からでもきつい。
 城野さん、せめて早いうちに事件解決してよかったね。でも人を信じることはできなくなるだろうなあ。