読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅱ ~扉子と空白の時~ 三上延著 メディアワークス文庫 2020年

 『ビブリア古書堂』新シリーズ第二弾。
 ネタばれあります、すみません;

 プロローグ
 祖母の智恵子から連絡を受けて、扉子は父 大輔の過去の記述 事件手帖を手に取る。祖母が確認したいのは、横溝正史『雪割草』に関する記録らしい。

 第一話 横溝正史『雪割草』Ⅰ
 2012年4月。鎌倉の旧家からビブリア古書堂に舞い込んだのは、遺産相続にまつわる相談事。依頼人の伯母は先日92歳で亡くなったのだが、横溝正史の『雪割草』という本を持っていた筈なのにその本が見当たらない。伯母の年の離れた双子の妹たち、つまり母と叔母は 相手が盗んだんだろうとお互いに罪を擦り付け合っている状態、だが問題は、そもそもそんな本の出版された記録自体がないということ。話を聞くうち、失くなった本は自装本だったことが判明する。栞子はその本の存在の可能性に気付き、罠をかけることで本を取り戻す。だが、そこに挟まれている筈の直筆原稿は失くなっていた。

 第二話 横溝正史『獄門島
 2021年、扉子はもうすぐ9歳。読書感想文を、横溝正史『獄門島』で書く、と張り切っている。カフェも併設されている古書店「もぐら堂」で売っていたのだ、と代金を携えて買いに行くと、取り置いて貰っていた本が失くなっていた。誰が買って行ったのか、バイトの証言は二転三転し、漸く購入者が分かった後も、その本は見つからない。扉子はその在り処を見抜き、友を得ることになる。

 第三話 横溝正史『雪割草』Ⅱ
 2020年、年末。『雪割草』事件の双子の妹が亡くなって、その遺品整理を栞子たちが依頼された。数多ある蔵書の中から『雪割草』の直筆原稿を発見し驚く栞子、だがそれは偽物だった。栞子たちは依頼者に 自分たちを呼んだ理由を問い質し、依頼者が原稿を盗んだ真犯人に目星をつけていたことを知る。栞子も、偽原稿を目にしたとある人物の所作に不審を抱いていた所だった。その人物は、明らかに真筆原稿の造作を知っている行動を取っていた。

 エピローグ
 『雪割草』事件について尋ねる智恵子に、扉子は疑問を抱く。何故智恵子は事件のあらましを知っているのか、そして祖母も事件に関わっているとしたら、どこに接点があったのか。… 

 ビブリア、今度のテーマは横溝正史、と知ってもう手ぐすね引いてました。何しろ私が初めて読んだ文庫本が『犬神家の一族』だったので。TVで放映されていた映画『犬神家の一族』を最後まで見られず(何しろまだ小さかったので途中で寝かしつけられた)、続きが気になる、と母に訴えたらなんと原作本を与えられたという…、確か小学4年生だった私にありがとうお母さん、その後の人格形成趣味嗜好に多分 多大な影響があったと思います、だから扉子ちゃんもきっと大丈夫(何が!?)。いや、わくわくしたよね、見立て殺人!(←あかんやん!)

 『雪割草』は私読んだことがないのですが、話題になったのは覚えてます。それをこんな風に題材にするとは…! そうか、金田一耕助の原点になるような人物が出てるのかぁ。横溝正史、多門連太郎とか八千代さんとか、重複人物結構いるもんなぁ。
 最後の最後のどんでん返し、扉子の問いに答えなかった、ってことはそうなんでしょうね。私、智恵子さんの恐ろしさというか邪悪さは今一つぴんと来てない所があったのですが、今回であっと驚きました。…それは駄目だわ、智恵子さん。
 栞子さんも扉子ちゃん智恵子さんも、一度読んだ本は覚えてるから読み返すことはほぼないって凄いなぁ。でもじゃあ、収集癖は一体とか、読み返して新たな視点からの発見が、ってこともないんだろうか、それも寂しい気が…って、記憶力もないのに読み返しもしない私が言うのも何ですが(苦笑;)。個人的に、「春の十蘭祭り」のフレーズに思わず吹き出しました。

 高校生の扉子ちゃんまで出てきた、ってことは今より未来が描かれてる訳ですね。まだあるという横溝正史ネタ、楽しみです。