読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

少女ノイズ 三雲岳斗著 光文社 2007年

 連作短編集。
 ネタばれになってるかも、すみません;

Ⅰ Crumbling Sky
 特任准教授 皆瀬梨夏の仲介で、「僕」高須賀克志(スカ)は予備校 雙葉塾の塾講師のアルバイトをすることになった。但し担当生徒は一人だけ、高校二年生の斎宮瞑。校内のどこかにいる彼女を探し出して、相手をするのが仕事内容。屋上にいた彼女はごついヘッドフォンを着けて寝転んでいた。まるで屍体のように。その美しさに、殺害現場マニアの「僕」は惹かれてしまう。
 会っていきなり、瞑は「僕」が天空恐怖症であることを見抜き、「僕」は小学生の頃、彫像の除幕式の日、担任教師が空から降って来た水風船のようなものに当たって死んでしまった記憶を語る。曖昧で不明瞭なエピソードを、瞑は「あなたが思い出さなくていいこと。」と受け止める。 

Ⅱ 四番目の色が散る前に
 赤根町にあるレストラン跡地にて、笹沼茜の死体が右腕を切り落とされた状態で発見された。続いて相川河川敷で発見された藍沢孝明の死体は左腕が切断されており、瞑はABC殺人事件を疑う。次の事件を防ごうと、瞑はスカを連れて演劇部の百瀬朋香と納戸愛美を訪ねる。だが、その翌週、百瀬は『ピンク・スマイル』というコーヒーショップの倉庫で、失血死体で発見される。現場は密室状態なのに凶器はなく、長い髪は切られていた。「もう誰も死なせないつもりだった」と瞑は呟く。

Ⅲ Fallen Angel Falls
 予備校の屋上で今にもフェンスを飛び越えそうだった少女は浦澤華菜、同級生との心中事件の生き残りらしい。以後、駅のホームで突き落とされたり机の中にガラス片が仕込まれて手を負傷したりという怪事件が起き、浦澤華菜が自分が呪われている、と言う。華菜の使う自動販売機に白煙が立った、その場から逃げ出した少女は、追うスカと瞑の前から消えてしまった。だが瞑は華菜を狙った人物に気が付く。 

Ⅳ あなたを見ている
 同僚講師の大那裕佳から紹介されたという生徒森澤恵里は、幽霊を刺したという。数年前から付きまとわれていたストーカーが、自宅のアクセサリー教室にまでいるのに遭遇して思わず刺して逃げてしまった、なのに教室に被害者は見当たらず、血痕も無かったとのこと。その後、スカは皆瀬に隣町で起きた通り魔事件現場に連れ出される。マンションに囲まれた広場で男子大学生が脇腹を刺された事件、でも犯人の足跡も凶器も見つからないらしい。両方の事件を聞いて、瞑は繋がりと真相を見出す。
 そして、瞑は姿を消した。

Ⅴ 静かな密室
 スカが試験監督をしていた教室で、もう一人の女性試験官が撲殺された。犯人の最有力候補として疑われるスカだが、彼自身大学の写真部の爆破事故に巻き込まれ、危うく命を落としかける。それでも晴れない疑惑に、病室に乗り込んでくる刑事たち。そして、血相変えた瞑も。


 有川さんのエッセイと、べるさんにお勧めされた一冊。
 成程、恋愛小説だわ(笑)。最終話なんて瞑ちゃん、ツンデレ爆発してるじゃん、何て可愛らしい!(笑)
 ミステリ部分については、成程と思う所もあり、それはないだろと思う箇所もあり。いくら男装したって女の子は女の子だと分かると思うし、真後ろの殺人には気がつかないか?と思ったし、凶器の処理の仕方もちょっと偶然に頼りすぎないかと思ったし。でも密室の解き方とか血痕の隠し方は目から鱗でしたね、そんな方法あったか、と。
 えらく殺人事件の多い学校というか土地柄だなぁと首を傾げかけてはっとしました。いかんいかん、そしたら『金田一少年』も『名探偵コナン』も読めねーじゃん! そういうのを長いこと愛読してきたのに、そういえばこのところ本格読んでなかったかも。
 初心に戻らねば、とちょっと反省しました。