読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

博多さっぱそうらん記 三崎亜紀著 角川書店 2021年

 博多VS.福岡、100年以上にわたる因縁の対決が令和の時代に再燃!?

 生粋の博多っ子のかなめは、高校時代に片思いをしていた博と再会。しかし博はアンチ博多人間になっていた! 原因はどうやら、高校時代のかなめの言動にあるらしい。
 商店街のセール催事「せいもん払い」の日、ふたりは突然、「福岡」の文字がすべて「博多」に入れ替わった「羽片世界」に迷い込んでしまった。「福岡」の名前に納得していない「博多」派の怨念が何故か活発化して、現実世界を侵食しようとしているらしい。祇園駅近くに新設される公園のデザイナーとして呼ばれた博は、仕入れた博多知識を活用し、かなめと共に怨念を昇華しようとする。
 お正月の祭り「玉せせり」、桜の季節のどんたくの「とおりもん」。季節の行事を通じて徐々に険悪になっていく「博多派」と「福岡派」、やがて博まで過去のトラウマを刺激され、ダークサイドに陥るまでに。だが博多駅が沈没し、かなめとの誤解も解けて、漸く博は我に返った。かなめと力を合わせて福博を融和させようとする。…  (出版社紹介文に付け足しました)

 三崎さんどうしたんだ、まるで万城目さんみたいじゃないか!?(←おい;)
 何か作品がいつもよりずっと明るいんですよ、賑やか極まりない。スラップスティック風味で、珍しいなぁ、と思いながら読みました。そうか、博多福岡文化って、何でも取り入れるごたまぜ文化だったのか、ってその節操のなさをいじりながらも郷土愛に溢れてます。町人の町の博多、武士の町の福岡、って初めて知りました。名称が福岡市に決まるまでの波乱万丈の多数決騒ぎも。いやぁ、裏工作の有様まで伝わってるとか、大らかだなぁ(笑)。
 関西の私からすると馴染みがない文化の紹介なんですが、お祭りだの地名だの、地元の人からしたら「出て来た―――!」って感じで嬉しいだろうなぁ。博多駅前の陥没事故を取り入れるあたり、凄いな、こんなことして大丈夫かしら、と思ってしまった(笑)。公園には本当に旧博多駅の時計台があるのか、ちょっと知りたいです。