読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

パーマネント神喜劇 万城目学著 新潮社 2017年

 連作短編集。
 ネタばれあります、すみません;

 はじめの一歩
 縁結びの神様に、「まず、はじめに」という口癖を封じられた篠崎肇。おかげで今までの、順序立てているようで実は優柔不断だった行動が、行き当たりばったりになってしまった。おかげで日々新しいことにチャレンジする羽目に、ただ今までになかった充実感は得られている。恋人坂本みさきにもプロポーズできた。
 神様は神様で、神界のフリーライターに取材を受けていた。

 当たり屋
 宇喜多英二、26歳の当たり屋。痛めた膝を治して欲しいと神社で祈願したら、新任の神様に本当の「当たり屋」にされてしまった。以来、競馬で当たり、自動販売機で当たり、宝くじで当たる。だが、ちっとも嬉しくない。
 一方、神社の神様は、後任の神様に勝手に自分の言霊を使われて焦っていた。

 トシ&シュン
 トシは小説家を目指していたが、今一つ結果が出なかった。ある日神社で恋人のシュンからアドバイスを受けて小説の書き方を変え、漸くデビューにこぎつける。それでも小説で食べて行くにはまだまだ時間が掛かった。
 シュンは売れない女優だった。オーディションになかなか合格しない状況を見て、恋人のトシから演技プランを変えてみるようアドバイスを受ける。そのオーディションそのものには受からなかったが、別の役がつき、そこから徐々にメディアへの露出が増えて行く。
 それはその神社でバイトをしていた神様が見せた「もしも」の世界。仕事で成功した場合、二人は結ばれない。縁結び担当として悩む神様、実は神様自体が試されていた瞬間だった。

 パーマネント神喜劇
 地震で本殿が壊れてしまった。だが人々は参拝に訪れ、平穏を願う。おばあちゃんの家に避難していた少女 美琴も、何故かおばあちゃんの家の近くにある神社の御神木、マテバシイのどんぐりを持って。神社で何度も出会った不思議な男は美琴に、本殿に向かってどんぐりを投げるよう指示した、気がする。…

 あらすじ書くのが難しかったなぁ。人間の話と神様の話が平行して書かれていて、どちらにも比重がある感じだったので。
 ひょうひょうと明るい口調で書かれる内容、軽い気持ちで読んでいたら最後にどん、と重いのが来ました。これ、最初の頃はここまで構想してなかったと思うんだけど、どこで作者は話を広げることを思いついたんだろう。それにしても、最終的には希望に満ちた終わり方で、語り口にあってましたね~。
 面白いお話は大神様さえ動かす。本当に大地震がなくなればいいんだけど、としみじみ思ってしまいました。