読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

赤毛のアン モンゴメリ著/松本侑子新訳 文春文庫 2019年

 孤児アンはプリンス・エドワード島のグリーン・ゲイブルズでマシューとマリラに愛され、すこやかに育つ。笑いと涙の名作は英文学が引用される芸術的な文学だった。
 お茶用のラズベリー水とカシス酒、スコットランド系アンの民族衣裳も原作通りに翻訳。みずみずしく夢のある日本初の全文訳・訳注付『赤毛のアン』シリーズ第1巻。 (裏表紙紹介文より)

 他人事のように、いずれ読むだろうな、と思っていた一冊。
 思いのほか時間が掛かりました。最初のうちはするする読んでいたのですが、だんだん「あれ、村岡花子訳だとどういう表現だったっけな」「違う言い方してたな」とむずむず気になってきて、最終的には村岡花子訳本を傍に置いて、数行ずつかわりばんこに読むように。特に、ラスト近辺、アンがクイーン学院から帰ってきて以降は一行ずつ読み比べましたよ。カナダ旅行で買った英語原文版も、気休めながら脇に置いて、最終的に思ったのは「アニメの『赤毛のアン』もう一度見たい…!!」でした。
 高畑勲、あのアニメ絶対原著から作ってるよ…!!
 村岡花子版と特に違うと思ったのは、植物やファッション用語、食べ物の名前。当時ではメジャーじゃなかった「ラズベリー水」や「カシス酒」が「いちご水」「葡萄酒」に訳されたのは有名ですが(でもその前に「きいちごのパイ」ってのは出て来てたんだよなぁ、パイはよくて水は駄目なの??ってのは今回改めて村岡版を読んで思いました)、「さんざし」の原文がメイフラワーで、イギリスと北米では指す種類が違う、ってのは「よく調べたなぁ…!」と感心しましたよ(上から目線ですみません;)。「最新流行の前髪のなでつけ方」がポンパドゥールだったとは…!
 個人的にはやっぱり「パフスリーブ」より「ふくらんだそで」の方が好きだし、「ものすごいけちん坊」より「おっそろしいけちん坊」って言い方の方がぐっと来るなぁ、とか細かいことはあったのですが、とにかくラスト近辺です。
 村岡花子、〆切りか何かに追われていたのか…??って思う位、端折り方がえぐい。それまで一字一句なぞられて来たものが、アンがクイーン学院から帰郷して、マシューが倒れて…って辺りから、省略が目に付き出します。でも私は何故かそれらのエピソードを知っていて、それは多分アニメで描かれていたから。
 マシューが銀行の倒産危機についてラッセルさんに尋ねる場面とか(その彼はマシューの葬式で詫びを口にしていた)、はっきりと覚えています。マリラの通夜での台詞もあったと思う。当時は原作を膨らませたのだろうと思った場面でしたが(アンが鼻かぜをひく原因となったエピソードとかは確かアニメオリジナルでした)、英語原作に忠実だったとは。生前、高畑監督は講演会で「手を抜くまいと思った」と仰ってましたが、こういうことも含めて、だったのね~。
 演芸会以降、アンの着る服はふくらんだ袖の最新流行型になった筈なのにアニメでは質素なままで、そこが私の中で不満でした。今回「原著に忠実」に気付いて以来、「ここまでやったならそれもやってくれよ」とよりいっそうわがままな、何とも理不尽な思いに駆られたのでしたよ(苦笑;)。
 アニメどこかで再放送してくれないかな、丁寧に見返したいな。
 岡田斗司夫さんに解説依頼しようかとまで思いました(苦笑;)。