読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

あの家に暮らす四人の女 三浦しをん著 中央公論新社 2015年

 織田作之助賞受賞作。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の牧田佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の谷山雪乃(毒舌)と上野多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。
ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。
ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。  (出版社紹介文より) 

 階上の水漏れのせいで住んでいたアパートに住めなくなった雪乃は、佐知の勧めのままちゃっかり佐知とその母 鶴代の家に転がり込んだが、この家でも水漏れが起きてしまった。被害にあったのは案の定というべきか雪乃の部屋、部屋の修繕が済むまでの応急処置として、雪乃は佐知の部屋に居候することに。せめてもの労働として、雪乃は「開かずの間」と呼ばれ放置されていた一階の洋間の片付けを決意する。ピッキングの要領で鍵をこじ開け、入った部屋には大量のほこりと書籍と、河童のミイラが存在していた。
 何故この家にこんなものが、どうやら佐知の父親がどこからか買ってきたものらしい。散々なだめすかして鶴代からことの経緯を聞く三人。リビングにいやいや置くことになった河童のミイラは、とある暴風雨の夜、賊に襲われる佐知を見て動き出した―――!
 元カレにストーカーされながらもかなり呑気な多恵美、庭の一角の離れに住む、元使用人一家の山田老人。庭のカラスも見守って、四人の女の共同生活は続く。…

 三浦しをんさんはエッセイだけでいいかな、小説はいいかな、と思ってたんですが(←失礼;)、この間読んだしをんさんの小説指南の本もあって、読んでみました。
 面白かった。女性陣の細かいあるあるに苦笑してしまう。外出するのに部屋着がだんだんよそ行きを侵食していくくだりとか、眉描く時の真剣さとか(私は描かないけど)。佐知と雪乃の会話「素敵な男性はすでに結婚している!」にも頷いてしまいましたよ(苦笑;)。牧田家の資産が底を突く頃合で本家断絶、ってのは身につまされましたし。
 そりゃいきなり語り手がカラスに飛んだりした時には「ええええ――――!?」ってなりましたけど。河童の衝撃の方がまだマシでしたね、きっとカラスで免疫できていたせいですね。
 佐知にほんのり恋の予感、で終わるのはほんわりしていいのですが、そしたら四人の共同生活はどうなるのかな。佐知がもし結婚、とかなったら多恵美はともかく雪乃は。…案外ずっと共同生活するのかもだけど(笑)。こんなに気の合う共同生活者はきっといないだろうから。