読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

昨日がなければ明日もない 宮部みゆき著 文藝春秋 2018年

 杉村三郎シリーズ、第5弾。

 絶対零度
杉村探偵事務所の10人目の依頼人は、50代半ばの品のいいご婦人だった。一昨年結婚した27歳の娘・優美が、自殺未遂をして入院ししてしまい、1ヵ月以上も面会ができまいままで、メールも繋がらないのだという。娘婿の「原因はお義母さんとの関係性だ」と言う言葉に戸惑い、傷つく婦人。だが優美の弟は、確かにべったりな関係ではあったがそれでかえって良好だった、と証言する。問題は娘婿の交友関係にあった、自分も強引な先輩と引き合わされて迷惑した、と。果たして、杉村は、陰惨な事件が起きていたことを突き止めるが……。

 華燭
杉村は近所に住む小崎さんから、姪の結婚式に出席してほしいと頼まれる。小崎さんは妹(姪の母親)と絶縁していて欠席するため、中学2年生の娘・加奈に付き添ってほしいというわけだ。会場に行ってみると、その日挙式予定の二組がどちらもてんやわんやの大騒ぎ。片方は花嫁が逃げ、片方は花婿の二股相手が乗り込んで来たらしい。

 昨日がなければ明日もない
事務所兼自宅の大家である竹中家の関係で、29歳の朽田美姫からの相談を受けることになった。「子供の命がかかっている」問題だという。美姫は16歳で最初の子、漣を産み、別の男性との間に6歳の男の子がいて、しかも今は、別の〝彼〟と一緒に暮らしているという奔放な女性であった。 6歳の男の子が交通事故にあったと聞いて、慰謝料を取る、と息巻く美姫。だがそれは加害者の老婦人ではなく、男の子の祖父母、つまり舅夫婦に請求するという無茶苦茶ぶり。美姫の妹 三恵は彼女を諫めようとするが…。
                            (出版社紹介文に付け足しました)


 宮部さんって、こんなにやりきれない話ばっかり書くようになったんだなぁ、とちょっと遠い目をしてしまった一冊。全く、何時の間にやら。時代物とかの方はまだハッピーエンドもあるのに(苦笑;)。
 『ソロモンの偽証』でもあった、親がどうしてもそちらにばかり目を掛けざるを得ない子供の傍で、ないがしろににされたり我慢を強いられたり、それを受け入れざるを得ない「いい子」たちの鬱憤。
 「それがなければいい子、ってのはそれがあるから駄目なんだよ」ってのはまさしく至言。マイメロディのお母さんもそういう台詞言っていたようですが(笑)。
 で、面白いんだよなぁ、宮部さん。読まされちゃうんだよ、凄いなぁ。
 しかし。子供のプレゼントに電子辞書を選ぶお父さん、それは大丈夫だったのかな。本気で嬉しがる小学四年生、ってのはかなり奇特な存在だと思うぞ;