読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ばくうどの悪夢 澤村伊智著 角川書店 2022年

 ネタばれあります、すみません;

 「眠れば、死ぬ」
 東京から父の地元 川西に引っ越してきて以来、悪夢に悩まされていた「僕」は、現実でもお腹に痣ができていることに気づく。僕だけでなく、父親の友人の子供たちもみな現実に干渉する悪夢に苦しめられていた。やがて、そのうちひとりが謎の死を遂げる。夢に殺されたのか。次に死ぬのは誰か。なぜ、悪夢を見るのか。
 理由を探る中でオカルトライターの野崎と真琴からお守りをもらい、僕らの苦悩はいったん静まったかのように思われた。しかし、今度は不気味な黒ずくめの女に襲われる悪夢を見るようになる。 「比嘉琴子」と名乗るその女は、夢の中で僕を殺そうとしてきて――。 (帯文より)

 前半と後半で大きなどんでん返し。…前半、微妙な違和感があるなぁとは思ってたんだよ、これはギャグとして入れてるんだろうかと思う場面もあって首を傾げてたら、その違和感がどんどん広がって真実に。で、後半です。
 主人公と言うか語り手が変わって、出来過ぎだったあの人の現実が明らかになりました。歪んだプライドが潰されて起こした大量殺人事件が、この地域で封じられていた「ばくうど」を呼び起こしてしまいます。子供と瀕死の大人に憑いて幸せな夢を見せ、魂を喰らうばくうど。比嘉琴子まで餌食になっているのを見て、真琴は子供たちと一緒に夢へ入り、ばくうどを封じる算段を立てます。
 何しろ相手が夢を見せる化物なので、こちらも疑い深くなりました。いや、まだこれでラストじゃないよね、もう1ターンあるよね、ってなもんで(笑)。前半でちらっと出てきた車椅子、気になってたんですがやっぱり鍵になってたのね~。後半パートが始まる前にある人物紹介欄「現実の登場人物」の言葉にもにやにやしてしまいました。読み返し甲斐のある作品でしたよ。
 真琴さんが目覚める所から、次作は始まるんでしょうか。まどマギを「昔の有名なアニメ」と紹介されてて、ちょっと遠い目をしてしまいました。…そうか、あれもう昔になるのか…(苦笑;)。