読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

吸血鬼 佐藤亜紀著 講談社 2016年

独立蜂起の火種が燻る十九世紀のポーランド
その田舎村に赴任する新任役人のヘルマン・ゲスラーとその美しき妻・エルザ。この土地の領主は、かつて詩人としても知られたアダム・クワルスキだった。
赴任したばかりの村で次々に起こる、村人の怪死事件――。
その凶兆を祓うべく行われる陰惨な慣習。
蹂躙される小国とその裏に蠢く人間たち。
西洋史・西洋美術に対する深い洞察と濃密な文体、詩情溢れるイメージから浮かび上がる、蹂躙される「生」と人間というおぞましきものの姿。
芸術選奨新人賞吉川英治文学新人賞受賞作家の新たなる代表作となる長編小説です。  (出版社紹介文より)

 三分の一ほど読んだ所で予約本が2冊届いてですね、先にそっちを読まなければ、ってんでこちらを中断してですね、再び読み始めたら単語やら固有名詞やらすっかり忘れていてですね; 誰だったっけこれ、と思って前のページ捲ったら人物じゃなくて地名だったとかですね;; じゃあ最初から読み返せよ、って話なんですが、作品世界の背景の知識はないし、馴染みのない響きが続くし、リズムに乗るのに時間が掛かりました;;(←自分のせいじゃん)
 本当の吸血鬼が出る訳ではなく、土着の信仰、言い伝えに振り回され、勝手に恐怖していく人々。気休めにと、それでも覚悟を持って行った行事が、自分に降りかかって来る。ゲスラーが自分の奥さんの遺体までちゃんとそうした時には、こいつ凄ぇ、と素直に思いました。確かに、そこまでするからこそ村人もついてくるんだよなぁ。
 最終的にクワルスキの作品が残ることで、貴族(?)の時代は終わったことになるのかな。実利的で有能な二人が次代を担う訳ですね。情と理を繋ぐ筈だったエルザが亡くなったのは残念でした。…いい人ほど早く亡くなるのね。