読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

桜庭一樹のシネマ桜吹雪 桜庭一樹著 文藝春秋 2021年

目を凝らせ、魂をみつけろ――
少女とヒーローと無数のifに満ちた映画ワールドがここに。

・音楽の神さま、あの娘を助けて 『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
・老いたるロッキーは神話的英雄だ 『クリード チャンプを継ぐ男
・SMとは「神の子」を造る戦い 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
・中年スパイダーマンが胸狂おしい 『スパイダーマン:スパイダーバース』
・血塗れの「映画の子供たち」 『GONIN サーガ』……etc.

「本当に観ておもしろい」映画を厳選!
週刊文春」の人気連載ほか、物語作家ならではの洞察が光る珠玉の映画エッセイ集。                (出版社紹介文より)

 桜庭さんが紹介する映画の数々。連載に当たり、毎回5~7本見て、これぞと思う作品を選んだのだとか。
 …桜庭さん、すげぇ。量も幅も半端ない。知ってる映画がほぼほぼない(爆!)。
 いやまぁ、私映画あまり見ないので、知らなくて当たり前、ってったらそうなんですが。
 桜庭さんが載せている映画はかなりマイナー(多分)で、あまり見る機会ないだろうなと、申し訳ないけど思ってしまったんですが、エッセイ的にぽつぽつと述べる心情が妙に印象的で、共感するものがあって、例えば話してる途中で(今日もだめだな…)と伝えることをあきらめてしまうとか、普段は歳相応に暮らしているけれど、ときどき急に、二十代の気持ちに巻き戻ってしまうとか。
 豆知識も得ました、水に入ることが”洗礼”、つまり生まれ変わりのメタファーだとか、十字架のポーズは”犠牲”を示しているとか、海外で無神論者だと提示すると危険人物と思われるかも、とか。…宗教関係ばっかりだな。まぁ普段 縁がないからなぁ。
 「巨大すぎる負の歴史を前に、個人の尊い物語が、我々を心地よく思考停止させてしまう」というのは、似たようなことを岡田斗司夫さんも映画『この世界の片隅に』解説で仰ってたような。泣いては駄目だ、そこで考えることが止まってしまう、みたいなことを。
 桜庭さんは、作家等はどこかにある”物語の源泉”から 憑代となって物語をおろしている、と考えていらっしゃるそうで。確かに、桜庭さんの書かれた粗筋に、「あ、これあのお話に似てるなぁ」と思った作品もありましたが、でも、そうするとオリジナリティってのはどこからどこまでだ??
 あとがきで、次は『鬼滅の刃』を観に行く、と仰ってる桜庭さん。『シン・エヴァンゲリオン』はどう観たのかな。メジャー映画の感想も聞きたいです。