読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

さえづちの眼(まなこ) 澤村伊智著 角川ホラー文庫 2023年

 中編集。
 ネタばれになってるかも、すみません;

 母と
 「鎌田ハウス」と呼ばれる田舎の施設に行くことになった塩貝琢海。「おっさん」こと鎌田滋を中心に、いわゆる問題のある子供たちと共同生活を送る。みんなで家事を分担し、学校へ行く者は通学し、近所の農作業を手伝い、出ていく準備のできた者は独り立ちする。居心地のよさを実感する中、家に「あいつら」がやってきた。おっさんが撃退したものの、その日から目に見えておっさんの具合が悪くなる。心配する琢海をよそに、おっさんはある日、理解者だという女性 瑛子を連れて来た。瑛子はおっさんの妻となり、一緒に鎌田ハウスを守ってくれる存在に。だが、間もなくおっさんは死んでしまう。「鎌田ハウスは自分が守る」と宣言する瑛子、だが子供の一人 杏が、施設を抜け出して比嘉真琴に助けを求めた。「ハウスのみんなが、エイコに乗っ取られた」と。真琴はパートナーの野崎と共に、鎌田ハウスに向かう。

 あの日の光は今も
 1981年に起きた「巴杵池事件」。子供二人がUFOを目撃したと証言した現場は、以降オカルトマニアの間で聖地となり、子供たちの運命も変わった。子供二人の証言が食い違ったことから信憑性はますます疑われた上、巴杵池で宇宙人を見つけたと騒いだライターが溺死体で見つかったこともあって、ますます子供は風評被害にさらされて行く。
 そして30年後。また新たに溺死体が浮かんだ。かつてUFOを目撃した少年の一人が、もう一人の少年の母親と共に見つかった。母親は瀕死の状態、二人の間に何があったのか、だが母親は口を噤んだまま。たまたまその地に宿泊した料理研究家 辻村ゆかりは、一つの考察を口にする。

 さえづちの眼
 郊外にある架守家では不穏な出来事が続いていた。短期間で入れ替わる家政婦、廊下に響く何やら這い回る音、深夜に現れる赤い目。やがて架守家の一人娘・冴子が失踪し、数十年後には当主が「アカイ、メ」と言い残して死ぬ。架守家への祟りを鎮めるために依頼された霊能者は、比嘉琴子と名乗った。…(裏表紙の紹介文より)

 澤村さん、刊行ペース早いなぁ。
 ホラーにいつからミステリ要素が多分に含まれるようになったんだろう。合理的な解釈で全てに片が付いたように見せかけて、さらにどんでん返し。恐さが加速する。
 『母と』はミスリード的な作品で見事に騙されたのですが、本編とは関係ない所で引っ掛かってしまいました。「琢海」という名前、我が子に付けるかなぁ。「琢」の字は使わないよ、学校なんかで絶対「豚」と似てる、って揶揄の対象になるよ、子供は漢字の意味なんて考えずにさ。それは親は気遣うんじゃないかなぁ。重要なのは音の響きだけだから、別の漢字を当てたら、思ってしまいました。いやいや、細かくてすみません;