読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる 佐藤賢一著 集英社 2021年

イスラエルパレスチナの衝突。世界各地で勃発するテロ。その背景の根深い宗教問題――。
同じエルサレムを聖地とするユダヤ教キリスト教イスラム教をめぐる約三千年を追いながら、日本人がわかりにくいと思われるポイントを整理し質問形式で世界史を読み解く。
直木賞毎日出版文化賞司馬遼太郎賞受賞の西洋歴史小説第一人者による世界史講義。   (出版社紹介文より)

 佐藤さんによる宗教解説、そりゃ面白かろう!ってんで予約を入れました。
 旧約聖書が「史書というより神話や伝説」(大洪水の話ってギリシャ神話にもありますもんね)、それを史実と照らし合わせる、って発想にわくわくしました。予言者にもモデルらしき人物がいるのか、へぇ~。
 知らないことばかりで、目から鱗!でした。旧約聖書が編纂されたのが実際のことより800年も後だったとか(そりゃ齟齬も起きよう)、一神教の起源としてエジプトのアテン神説があるとか。ツタンカーメンの前王アメンヘテプ四世が宗教改革を推進して…ってエピソードは知ってましたが、それがユダヤ教に繋がってたかもしれないとは。何度も訪れる苦難を「神からの罰」として、「他の民族に負けた訳ではない」とする。…これ、下手すると反省して改善する、ってことを放棄することに繋がりそうな…。
 多神教が一般的だった世界にキリスト教が広まるのに、聖人の役割が大きかった。…そうか、「〇〇の神」を祀る代わりに「聖〇〇」の日か。
 ルターによる聖書のドイツ語訳、このあたりのごたごたは『狼と羊皮紙』シリーズや『本好きの下剋上』がモデルにしている世界ですね。
 近代になってくるといよいよややこしくなってきます。祖国なき故のユダヤ系のネットワーク、同一国にいても「同じではない」と思われてしまう。商業を主として豊かだったイスラム世界は、教義に忠実だったこともあって近代化に遅れ、キリスト教に圧され、細分化する。キリスト教内も様々に分かれ、清教徒アメリカに移住するし、アイルランド問題、スペイン問題にウクライナにまで触れられます。出版は2021年だから、識者から見たら今のロシアのウクライナ侵攻は十分予想できるものだったのかな。

 章ごとに入る、佐藤さんご本人のちょっとしたエピソードも楽しかったです。アニメ『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』あったなぁ! 『大草原の小さな家』に宗教問題に絡んだエピソードがあったとは、そうか、東京ディズニーシー楽しいのか、私シーの方 行ったことないんだよなぁ。

 読み通しはしたんですが、これきっと忘れるな~。ちゃんと知識として身に着いたら、もっと世界は広がるでしょうに。記憶力の減退が辛い;