読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

隠居おてだま 西條奈加著 角川書店 2023年

 シリーズ2冊目。ネタばれになってるかも、すみません;

 老舗糸問屋・嶋屋元当主の徳兵衛は、還暦を機に隠居暮らしを始めた。風雅な余生を送るはずが、巣鴨の隠居家は孫の千代太が連れてきた子供たちで大にぎわい。勢い、その騒動にも巻き込まれる。
 勘七・おなつの兄妹の母 おはちは、榎吉と元の鞘に納まった筈だった。所が榎吉に新たな女性の影が見え隠れするし、瓢吉・逸郎兄弟の母親は、また一緒に暮らさないかと訪ねてきたり。徳兵衛は、女たちの生活の安定のためにもと、組紐職人のおはちを中心に 新たに組紐商いも始めることとなった。
 ある日、秋治と名乗る錺師が、帯留を持って訪ねて来た。今までの年寄り向きの野暮品とは一線を画す見事な細工物で、徳兵衛は一目で惚れ込んで、組紐と併せた販売経路を立てることに。実はこの秋治は、徳兵衛の末娘お楽の良人。既に身重になっているお楽が秋治と結ばれるようにと、嶋屋全員が知恵を絞ってお膳立てしたのだ。
 騙されていた、と知った徳兵衛の絶望は深く、嶋屋との縁切りを言い渡す。千代太の涙の訴えにもほだされない。徳兵衛を謀っていた妻のお登勢は、自身も嶋屋から離れる決意をする。…   (出版社HPの紹介文に付け足しました)

 続編出たんだ、のシリーズ2冊目。とか言いながら、前作の内容の細かい所はすっかり忘れてたんですが(すみません;)。今回は帯留事始め的な展開でしたね。
 やっぱり西條さんの職人ものは面白い。お楽と秋治のデザイナーとアルチザン的な関係に、販売経路や戦略まで絡む。いきいきと動く徳兵衛がいかにも嬉しそうで、読んでるこちらも楽しい。
 でも一方でお楽の幸せが認められない。それで苦しむのは自分なんですけどね、仲間外れにされるのもいわば自業自得な訳で、それは自覚しながらも、誠実に対応しなかった相手を許せない。お登勢さんが、代表で責任を取ったような形になります。…何か徳兵衛さん、放っといてもいいような気もするんですが(←ちょっとひどい・苦笑;)。
 徳兵衛さんが亡くなる12年後まで描くのかな。3冊目でどうなってるか楽しみです。