読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

邪教の子 澤村伊智著 文藝春秋 2021年

 ネタばれになってる気がします、すみません;

 光明が丘ニュータウンに住む祖父母の家に同居するため、引っ越して来た茜ちゃん。彼女の母親はとある新興宗教にハマって娘を監禁、暴力をふるっていた。家族も手を出せない状況の中、同級生の慧斗は祐仁と朋美と共に、彼女を救い出す決心をする。無謀だったその計画は、「大地の力」を身に着けた教祖の協力で成功した。以来、光明が丘ニュータウンは「大地の力」を原動力とする新興宗教の宗教都市ならぬ宗教ニュータウンとして、地元の人々と共生している。
 テレビ局社員の矢口弘也は「アウトサイド食リポ」と称して、アウトサイダーの食事風景を取材していた。ある日彼の下に、久木田祐仁と名乗る男から連絡が来る。彼は新興宗教「大地の民」から抜け出して来たという。元々「大地の民」の欺瞞を暴きたいと思っていた矢口は、彼を伝手として光明が丘ニュータウンに乗り込んだ。矢口の取材に如才なく応じる女性 飯田茜は、かつて権藤慧斗が助けた少女だった。今や教祖夫人の慧斗を心から尊敬し、明るく振舞う茜。その異様に若い外見を矢口は怪しむ。やがて、祐仁がベランダから落ちて死亡するが、事故で片付けられてしまった。別の宗徒からは、慧斗がテロを起こそうとしている、との証言も入る。「大地の力」とは存在するのか、矢口は大量殺人を止められるのか。…

 手記から始まる第一章、これが裏のある文章だということは何となく察せられる訳で、ですからこれの種明かしは、うんうん、そうだよね、ここ引っ掛かってたのよ、って感じで読めました。
 第二章になって、矢口の「大地の民」への敵意が普通ではなく、その理由がいつ明かされるのかなぁと思いつつ。何だかあっさり、こんなもの?と思ってたら、もうひと捻りありましたね。
 手記で相手側がばたばた倒れる展開に、これ、毒盛られたんじゃないの?とは思ったんですが、そうか、そう来たか~。多少無理があるんじゃない、と思う箇所はありましたが、謎は説明ついてましたし、面白かったです。