読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

下鴨アンティーク アリスの宝箱 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2018年

 シリーズ最終巻、番外編。

 鶯の落とし文
 糺の森で『鶯の落とし文』を探している老人に会った幸。今は亡い婚約者の、プロポーズの返事を待っているという。折も折、良鷹は骨董店『如月堂』から、曰く付きの笄を預かって来た。梅に鶯の図柄のはずなのに、鶯が消えてしまった笄。幸は、友達の家で見た振り袖姿の少女の幽霊との関連を思いつく。

 青時雨の客人
 春野の家を訪れて来た女性は、牡丹の香水瓶を返して欲しいという。すぐ消えてしまった彼女は、その後 春野の夢に出て来るようになる。妹に隠し事をして後悔する姉の姿、春野は祖父母の連絡先リストから、所縁の人物の見当をつける。果たして、その人は彼女の妹だった。

 額の花
 その昔、千枝子お嬢様のために作られた紫陽花のブローチ。彫金の見事なそれは、家勢が傾くに従って千枝子の元を離れることに。ブローチは千枝子を忘れることができず、次々の持ち主に馴染めずにいた。やがて芙二子から嫁の千鶴へ、鹿乃へとブローチは譲られて行く。

 白帝の匂い袋
 芙二子の祖母の話。継母に連れられて野々宮家に嫁いできた鈴。妾の子だった鈴は、当主の息子 元晴に異常に執着され、避難する意味もあってはるばる東京から京都まで来た。だが、元晴は鈴を追いかけてくる。まるで何かに取り憑かれたかのように。

 一陽来復
 冬至の夜、鹿乃を訪ねる道すがら、糺の森で獣の赤ん坊の気配を感じる慧。その獣を助けた後、別の何かに襲われたが、無事に事なきを得た。鹿乃は神農祭の抱え帯を慧に見せる。十二頭の虎が描かれている筈が、そこには十一頭しかいなかった。

 山吹の面影
 如月堂の紹介で、良鷹は口丹波の八幡家を訪ねる。八幡家の前当主の形見 筥迫に不思議な現象が起こるらしい。曰く、白無垢の女生と山吹の花が現れるのだとか。その筥迫は前当主の元婚約者の忘れ物で、彼女は祝言の夜に忽然と消えてしまったとのこと。彼女の出身地を突き止め、良鷹たちは山村へ向かう。既に廃村になっていた場所で、幸は狐と出会う。…

 番外編、ということで着物ではない骨董品にまつわる不思議の話。幸の能力が役立っているようで、それにしてもその年齢よりちょっと幼い感じがするなぁ。
 『白帝の匂い袋』は先日まで見ていたアニメ『わたしの幸せな結婚』を思い出しました。着物を見立てて誂えて貰うとか、女の子はそういうの好きだよなぁ(笑)。女同士の友情が美しい。
 良鷹と幸をメインに据えればまだスピンオフで話は続きそうなんですが、一応これでラストなんですね。幸は若紫的な感じになるんだろうか、でもそれはちょっと抵抗を感じるので、やっぱりここで終わった方がいいのかな。潔い姿勢は好きです。