読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

読書 作家別さ行

小説 火の鳥 大地編 上・下 桜庭一樹著/手塚治虫原案 朝日新聞出版 2021年

手塚治虫による「火の鳥 大地編」構想原稿を元に、桜庭一樹が書いた「火の鳥」続編。…桜庭さん、勇気あるなぁ; この作品をお気に入りの方は、この先を読まない方がいいと思います; ネタばれあります、すみません。 1938年、日本占領下の上海。若く野心的な…

曲亭の家 西條奈加著 角川春樹事務所 2021年

直木賞受賞後第一作。書き下ろし長篇。 神田の医者の娘として自由な家風で育ったお路(みち)が嫁いだのは、稀代の人気戯作者・曲亭(滝沢)馬琴の一人息子。横暴な舅の馬琴に、病持ち・癇癪持ちの夫と姑。過酷な環境の中、大きな苦労を背負ったお路だが、3…

東京ディストピア日記 桜庭一樹著 河出書房新社 2021年

作家・桜庭一樹が仔細に記録する2020年1月~2021年1月。分断が進むこの世界で、私は、あなたは、どこにいて何を思考する、誰なんだろう――?オリンピック延期、和牛券、休業要請、#うちで踊ろう、Zoom飲み会、アベノマスク、ステイ・ホーム太り、自粛警察、極端…

小説という毒を浴びる 桜庭一樹書評集 桜庭一樹著 集英社 2019年

少女小説からミステリ、古典から現代のベストセラーまで、本に溺れる愉しさ。約15年分の書評を通して、桜庭一樹の人となりが見えてくる。著者初の書評集。道尾秀介氏、冲方丁氏、綿矢りさ氏、辻村深月氏との対談も収録。 (出版社紹介文に付け足しました) …

下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2015年

シリーズ2冊目。 ネタばれあります、すみません; ペルセフォネと秘密の花園 野々宮鹿乃の家を金髪碧眼の少女が訪ねて来た。かつて昆虫学者の曽祖父が日本に留学した折、残した着物〈秘密の花園〉を引き取りに来たという。それらしき着物を蔵から出してみる…

ぜんしゅの跫(あしおと) 澤村伊智著 角川ホラー文庫 2021年

短編集。 鏡 仕事の付き合いで出席した結婚式の新婦は、お世辞にも美しいとは言えない容姿だった。その振る舞いも自虐的で、会場で笑いを取っている。出席者から弄られる「役割」を果たす彼女。同じテーブルにいた男が、彼女の生い立ちを放し始める。 わたし…

日蓮 佐藤賢一著 新潮社 2021年

天変地異、疫病の流行……災難が続くいま、救いの道を示せるのはこの男しかいない。 鎌倉中期。人々は天変地異や疫病、飢饉に苦しめられていた。僧侶・日蓮は、為政者が悪法に染まり、仏たちがこの国を去ったが故に災難が続くと結論づける。鋭い舌鋒で他宗に法…

うるはしみにくしあなたのともだち 澤村伊智著 双葉社 2020年

ネタばれあります、すみません; 四ツ角高校三年二組で一番美しく人気もあった生徒・更紗が突如自殺する。遺書もなくいじめがあったわけでもない。彼女の死をきっかけに、次々に女生徒が見えない力によって容姿を傷付けられていく。互いを勘ぐり合う生徒たち…

キノの旅ⅩⅩⅢ―the Beautiful World― 時雨沢恵一著/黒星紅白イラスト メディアワークス電撃文庫 2020年

シリーズ23作目。 ネタばれあります、すみません; 「演技の国」 本人のキャラクターを生かした映画を作ろうと、その国の人は旅人に「映画に出ませんか」と話しかける。キノたちに、シズたちに、師匠たちに。 「ペンの国」 自由な表現や報道が禁止されている…

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿 澤村伊智著 祥伝社 2020年

連作短編集。 ネタばれになるかな、すみません; 駆け出しの貧乏ライター湾沢陸男――この男の行くところに、奇っ怪な事件あり。癖の強すぎるスタッフが集うウェブマガジン『アウターQ』。エンタメサイトのはずなのに引き寄せてしまう、ホンモノを……。『笑う…

いつの空にも星が出ていた 佐藤多佳子著 講談社 2020年 

物静かな高校の先生、予備校に通う女子高生、家業の電気店を継いだ若者、少年野球のピッチャー、洋食店のシェフ―― 一見つながりのない人たちを結んでいる、強くてまっすぐな気持ち! なにかを心から「好き」でいる、すべての人へ贈る爽快な感動!! (出版社HP…

心淋し川(うらさびしがわ) 西條奈加著 集英社 2020年

連作短編集。 第164回直木賞候補作。 心淋し川 江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、古びた長屋が立ち並んでいる。十九のちほは博奕好きの父を抱え、苦手な針仕事をこなす毎日。仕立物を納める志野屋で上絵師の元吉と知り合い、お互い憎からず思…

朱く照る丘 ソナンと空人4 沢村凛著 新潮文庫 2020年

『ソナンと空人』最終巻。 ネタばれあります、すみません; シュヌア家に戻ったソナンは、かつて顧みたこともなかったシュヌア領地を検分し、管理人の横領に気付く。輪笏で学んだことを参考に、事を荒立てない方法で管理人を窘めたが、それをきっかけに王都…

運命の逆流 ソナンと空人3 沢村凛著 新潮文庫 2020年

『ソナンと空人』第3巻。 ネタばれと言うか、粗筋かなり書いてます、すみません; 空人は通訳として交易の使節団に加わり、故国トコシュヌコへ行くことに。荒れ狂う外海を越える一か月以上の船旅の後、空人たちはトコシュヌコに到着した。故国の誰にも正体…

鬼絹の姫 ソナンと空人2 沢村凛著 新潮文庫 2020年

『ソナンと空人』、第2巻。 空人は妻を連れて輪笏の地に赴任した。輪笏は貧しい土地で、空人着任の宴を開く費用もままならないほど。空人は弓貴の、ひいては輪笏の土地の状況、領民の様子を学び、領地を豊かにするアイデア思い付いては次々に実行していく。…

王都の落後者 ソナンと空人1 沢村凛著 新潮文庫 2020年

ネタばれあります、すみません; 王都において、ソナンはシュヌア将軍の一人息子として生まれた。長い廊下のある広大な屋敷で育ち、14歳で近衛隊に入った。婚約者が決められていたにも関わらずソナンは悪い遊びを覚え、家の金を持ち出すようになる。剣の腕は…

下鴨アンティーク アリスと紫式部 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2015年

シリーズ1冊目。 アリスと紫式部 京都、下鴨。旧華族の血を引く野々宮鹿乃は高校三年生。ぐうたらな骨董商の兄 良鷹と、下宿人の近世文学准教授 八島慧と三人で暮らしている。大好きだった祖母は去年亡くなったばかり、鹿乃の着ているアンティーク着物は大…

歓喜の歌 惑星博物館Ⅲ 菅浩江著 早川書房 2020年

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑〈アフロディーテ〉を舞台にしたシリーズ第3作。 ネタばれになってるかも、すみません; Ⅰ 一寸の虫にも アクセサリー材料として違法に遺伝子操作された昆虫ニジタマムシが、調査途中で逃げ出した。惑星博物館内の動・…

わかれ縁 西條奈加著 文藝春秋 2020年

連作短編集。 「わかれ縁」 夫婦となって5年、定職にもつかずに浮気と借金を繰り返す亭主富次郎に絶望した絵乃は、身ひとつで家を飛び出し、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」に流れ着く。 夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、女…

ポロック生命体 瀬名秀明著 新潮社 2020年

連作短編集、になるのかな?? ネタばれになってるかも、すみません;; シンギュラリティに備えよ! VS将棋、VS小説、VS絵画――。人工知能が、将棋の永世名人を破るときが来た。映画や小説の面白さを分析、数値化し、それに基づいて魅力的な物語が生まれるよ…

月人壮士(つきひとおとこ) 澤田瞳子著 中央公論社 2019年

螺旋プロジェクト古代篇。 東大寺大仏の開眼供養から四年、仏教政策を推進した帝・聖武天皇の宝算は尽きる。道祖王を皇太子にとの遺詔が残されるも、その言に疑いを持つ者がいた。前左大臣・橘諸兄の命を受けた中臣継麻呂と道鏡は、密かに亡き先帝の真意を探…

せき越えぬ 西條奈加著 新潮社 2019年

東海道・箱根の関所には、今日も切実な事情を抱えた旅人がやって来る。西国へ帰る訳ありげな兄妹、江戸から夜逃げしてきた臨月の女、そして命を賭して一人の男にこの国の未来を託そうとする人々――黄昏を迎えた江戸の世で、若い関守の目に映る究極の人間ドラ…

ナポレオン 3 転落篇 佐藤賢一著 集英社 2019年

またたく間にヨーロッパの頂点へ上り詰めた男の栄光と凋落。稀代の英雄の一代記、ここに完結! 諸国との戦争に破竹の勢いで勝利し続け、ヨーロッパをほぼ手中に収めたナポレオン。オーストリア皇女と再婚して跡継ぎにも恵まれ、絶頂期を迎えるが、酷寒の地・…

ナポレオン 2 野望篇 佐藤賢一著 集英社 2019年

たった一人の男の野望が、ヨーロッパ全土を震撼させる。フランスの英雄から、ヨーロッパの覇者へ。歴史巨編、激動の第2巻! イタリア遠征でオーストリア軍との戦いに歴史的な勝利を収めたナポレオン。次に向かったのは、古代文明の地・エジプト。イギリスと…

ファミリーランド 澤村伊智著 早川書房 2019年

短編集。 コンピューターお義母さん 遠く関西にいる義母に、我が家は監視されている。ネットで繋がった状況から、いちいち小言を言ってくる。パート先の愚痴まで把握されるに至って、「わたし」はタブレットを置いて、義母のいる老人ホームを電撃訪問した。…

ブルボン朝 フランス王朝史3 佐藤賢一著 講談社現代新書 2019年

カペー、ヴァロワ、ブルボンと続くフランス王朝の歴史を描けるのは、この人しかいない! ブルボン朝の歴史を描く「フランス王朝史」シリーズ第3弾。ついに完結。 3つの王朝中、最も華やかな時代を描く。 長い宗教戦争の時代を克服し、ヨーロッパ最強国、そし…

ナポレオン 1 台頭篇 佐藤賢一著 集英社 2019年

道を拓け、己の力で。 貧乏貴族の息子が、一代でフランス皇帝へ。 離島出身の男が、一代でフランス皇帝へ。彼はいかにして「英雄」となったのか。フランス国民を熱狂させたカリスマの素顔とは。ナポレオン生誕250周年に、西洋歴史小説の第一人者が満を持して…

小説 ブラックジャック 瀬名秀明著/原作 手塚治虫 誠文堂新光社 2019年

手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』を、瀬名秀明が小説で蘇らせた作品。第一話 B・J vs. AI 遂に自律型AIを搭載した医療ロボット≪サージェリー・プロ≫が完成した。その開発チームの医師の言葉は、あたかもB・Jへの挑戦状だった。彼の恋人に説得され、≪サ…

予言の島 澤村伊智著 KADOKAWA 2019年

【初読はミステリ、二度目はホラー。この謎に、あなたもきっと囚われる。】「わたしは死ぬよ。言葉で。呪いで」瀬戸内海に浮かぶ霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が生涯最後の予言を遺した場所だ。彼女の死から二十年後、《霊魂六つが冥…

亥子ころころ 西條奈加著 講談社 2019年

シリーズ2冊目。連作短編集。 味見してみちゃ、くれねえかい? 読んで美味しい“人情”という銘菓。 “思い”のこもった諸国の菓子が、強張った心を解きほぐす――。 親子三代で営む菓子舗を舞台に、人の温もりを紡いだ傑作時代小説! 武家出身の職人・治兵衛を主…