読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

下鴨アンティーク 暁の恋 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2017年

 シリーズ6冊目。

 椿心中
 仲人が趣味の雨森富江が、鹿乃に青年を紹介してきた。だが、彼 佐伯稜一の目的は、鹿乃の蔵の着物にあった。紅白の椿を描いた振袖、大伯母の誂えたそれは、みるみる枝から落ちて行く。かつて大伯母は心中事件を起こし、その妹で稜一の祖母 瀧子は、未だに屈託を抱えているらしい。血の繋がらない兄との恋を認められなかった大伯母、実は稜一も同じような境遇に陥っていた。

 月を隠して懐に
 母の法事で、慧は父と共に栃木へ遠出することに。その頃 鹿乃は、着物姿の男性に「鶴亀の羽織」について尋ねられていた。蔵にあった羽織は、二匹の猿が鶴亀の冠を被った柄。その猿のうち一匹が、羽織から抜け出してしまう。猿の行く先は能管、どうやら猿は笛に執着があるらしい。調べてみると元の持ち主は、習っていた笛の先生を好きになって押し掛けていたとのこと、弟子の目には傍迷惑な女性に映っていた。

 暁の恋
 夜の梅を描いた帯の、梅が消えて漆黒になってしまった。帯のモチーフは和泉式部、持ち主も和泉式部と同様、恋多き女性と噂された人だったらしい。染色家の姪の話では、その噂も 悪意を持って周囲に立てられたものだったとか、実際 夫との仲は睦まじかったとのこと。心の闇を払うべく、和泉式部の歌に倣って、鹿乃は帯に夜明けを知らせることを思いつく。

 羊は二度駆ける
 良鷹が真帆を連れて骨董を仕入れた矢先、二人は呼子鳥に襲われた。仕入れ先の塩谷家は藪神を祀っていた旧家、その呪いに骨董を買っただけの二人まで巻き込まれたらしい。塩谷家では全てを清算したい当主と事情を知らない娘や娘婿の間で、諍いが起こっていた。…

 鹿乃と慧の関係が一気に進んだ6冊目、プロポーズまで行くとは思わなかったけど。結果的に当て馬にされた春野が本当、可哀そう(笑)。
 良鷹の不精の理由も描かれました。…みんな、お兄ちゃんに夢見過ぎだよぅ(苦笑;)。その良鷹と真帆の関係は、恋愛には行かなさそう。こういう関係があってもいいよね。
 さて、とりあえず二人の想いは確かめられた訳で、次からはどう展開されるんでしょう。次巻に続きます。