読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

チャンバラ 佐藤賢一著 新潮社 2023年

有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらには――。
最後の難敵との死闘を終えた宮本武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではないな。ただのチャンバラにすぎん……。
直木賞作家の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との名勝負! 「剣聖」とも称される二刀流の達人が、激闘の果てに辿り着いた境地とは?  (出版社紹介文より)

 対戦により宮本武蔵の生涯を描く、このやり方はモハメド・アリを描いた『ファイト』に準じるような。
 面白かったです。正直、最初の方は読み辛くてなかなか進めなかったのですが、後半ぐんぐん面白くなりました。この時代の命のやり取りの簡単さに「うわぁ~:」と辟易していたのが(死体片付けるの大変だったろうなぁ;)、最後の方では様々な武器や戦い方への対応に引きこまれてました。ほぼケンカから始まって、気合、殺気のない剣、百人斬りに鎖鎌、物干し竿のツバメ返しに、最後は養父の十手との二刀流。これはもう少年漫画の世界だな、次々現れる新しい敵に創意工夫で勝利していく。ただやっぱり、命まで取らなくてもいいんでは、とは思ってしまいましたけど。
 私は宮本武蔵に関する知識はほとんどなくて、だからお雪さんが佐々木小次郎と結婚して一児を儲けていたとか知らなかったんですけど、どこまで史実なんでしょう。ムサシの方は、お雪さんへの純情を貫いていたってことだもんなぁ。
 少年漫画の原点を見た気がしました。