読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 白川紺子著 集英社オレンジ文庫 2017年

 シリーズ7冊目。

 雛の鈴
 鈴の音がする帯がある。片側は手毬、もう片側は立ち雛の刺繍。持ち主は祖母の女学校時代の同級生らしい。連絡を取ると、祖母とは関わりたくない、とけんもほろろ。彼女は母のものだった帯を忌避していた。なかなか子供が授からなかった母の執念や、自分の出生の秘密を掘り起こすものとして。

 散りて咲くもの
 蔵の着物も最後の一枚になった。墨で描かれた一面の桜の着物、だがすぐ散ってしまったそれは、祖母の叔母に当たる人のものだったらしい。「山で神隠しにあった」との風聞や残された書跡を頼りに、鹿乃たちは吉野へと向かう。一族でたった一人の女性だった彼女は、自分の生きる道を切り開いた代わりに、後々生まれるかもしれない野々宮家の女性を気に掛けていた。

 白鳥と紫式部
 ある日突然、良鷹の中学時代の同級生 津守から藤柄の着物が送られてきた。藤の色がすっかり抜けてしまった着物、津守自身はもう亡くなっているらしい。丁度その時、良鷹は別の伝手から、津守の家を訪ねていた。骨董品の整理を頼まれた良鷹が出会ったのは、津守の幼い娘・幸と、津守家の資産を目当てに彼女に取り入ろうとする親戚連中。着物は津守の祖父のもので、密かな恋人への喪服だった。その祖父の姿が、幸には見えるという。…

 シリーズ最終話。
 いつの間にやら着物も残り一枚に、っていきなり??とちょっと戸惑いつつ。このシリーズいつでも終われる作りだったんだなぁ(苦笑;)。とか言いながら、また不思議な着物は集まって来るし、ここに来て新キャラも出てきました。源氏物語がモチーフ、ということは幸が良鷹の若紫になるんだろうか。それはちょっとイヤかも、良鷹はあくまで保護者でいてほしい、と個人的に思っています。…いや、私自身があまり光源氏にいいイメージがないからなんですけどね;
 さて、あと一冊番外編が出るようですね。次巻、最終巻です。