本と本とが響き合い奏でる音を愛でる日々。読書愛あふれる初の私小説。解決のない疑問は、解毒剤のない毒薬のようなものだ――どうして! なぜ? と謎は深まる。
江戸川乱歩、三島由紀夫、芥川龍之介、山田風太郎、福永武彦……小説、俳句、詩歌に音楽、小沢昭一の随筆も登場。本を読んではスパークする作家魂。読み手もまた創作者、本読む愉しみを分かち合い、時空をめぐる、日常の冒険。 (出版社HPより)
小説、なんだろうか。副題に私小説とあるからには小説なんでしょうね、とするとエッセイとの差はどこなんだろう、どこかに創作が入ってるんだろうか。
夏目漱石『坊っちゃん』の創作スピードに気が付き、その切っ掛けの事件を推測、紹介した半藤一利、その根拠を確認することは作者が死んでる以上もうできないことで、これを創作、と見てるのかしら。萩原朔太郎の詩を音読する唯一性、これも正解はもうわからない。
小さい頃読んだきり分からなかった作品の正体が判明したりするのはすっきりしますよね。あと、同じテーマで書かれた小説やら芝居やらドラマやら、別々なものの筈なのに偶然一気に繋がって「これは運命だ!」と感じる瞬間も、確かにある(笑)。
いつも通り、色々なことも教えて頂きました。太宰治と松本清張、同い年だったとは! 昔の高校生ラテン語堪能、当然教師もとか凄ぇな!
『レ・ミゼラブル』の邦訳が『あはれ浮世』でジャベール刑事を≪蛇の道鬼兵衛≫にしてた、っていいなぁ。こういう、何が何でも日本語にしてやる!って一昔前の翻訳、妙に好きです。
ホームズのワトソン博士のミドルネーム≪H≫が「ヘイミッシュ」だと、ドロシー・L・セイヤーズがシャーロキアンとして回答する、この辺りのこじつけは二次創作の文化にも繋がるよなぁ。これは本当、納得しました。