読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

水 本の小説 北村薫著 新潮社 2022年

懐かしくて新しい物語の言葉が、映像や詩や短歌、歌のことばに結び合わされて光を放ち、豊かに輝き出す。
向田邦子隆慶一郎山川静夫遠藤周作小林信彦橋本治庄野潤三岸田今日子エラリー・クイーン芥川龍之介――思いがけなく繋がっていく面白さ。本の達人ならではの探索と発見が胸を打つ〈本の私小説〉。 (出版社HPより)

 これは小説なのかしら??と首を傾げつつ。随筆、じゃないのかなぁ。
 つらつらと連想するまま語られる文学文芸、教養のハンマーで側頭部をぶん殴られる感じ。よくもここまで覚えてるよなぁ。今回、文芸員の皆さんに協力をお願いしたりもしていますが。
 ただ、恩師退官の日の予餞会で、寺田透が 悲しみのあまりテーブルの上の酒や食事を蹴飛ばしまくった、というエピソードを、私は微笑ましくは読めなかったなぁ。散らばった食べ物や飲み物を誰が片付けたんだよ迷惑な、とそちらに目が行ってしまうのは私が女だからでしょうか。
 パロディの、大元を知らないと…というのはそれこそ教養(雑学?)のなせる業、その時代の流行言葉と言うのも勿論あるでしょうが、友人の言う「お笑いを解説する野暮さ」に通じるような。でも、自戒を込めて言うんですが、説明されないと分からないのもあるんだよ! その辺りの匙加減の絶妙さだよなぁ。
 海外作品で、小説タイトルの編集者による改題、というのは、アイザック・アシモフが結構ボヤいてましたっけ。で、単行本収録時によほどでない限り自分のつけたタイトルに戻す、という…(笑;)。でも編集さんによる正解もあるよなぁ、と『偉大なるギャッツビー』を例として出されると思ってしまいました。
 迷羊(ストレイシープ)と聞くと、『文豪ストレイドッグス』を連想するようになってる自分にちょっと苦笑。昨今では そこから文学に入る人もいるでしょうしね。私は『あさきゆめみし』で『源氏物語』を履修したし、『たけくらべ』に至っては『ガラスの仮面』の劇中劇でしか見ていません、映画どころでもなくてすみません(苦笑;)。