読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

青少年のための小説入門 久保寺健彦著 集英社文庫 2018年

 「すげえの書いて、デビューしようぜ」
落ちこぼれヤンキーといじめられっ子中学生が、小説界に殴り込み! ?
小説家を目指すデコボココンビの奮闘を描く、渾身の青春長編小説。

 小説家となった入江一真(かずま)のもとに、一枚の葉書が届く。とぎれとぎれの字で「インチキじゃなかったぜ」とだけ書かれたその手紙は、もう20年ほど会っていない「元相棒」から送られてきたものだった――。

 1982年4月、中学2年だった一真は、万引きを強要された駄菓子屋の現場で、ヤンキーの登(のぼる)と出会う。
 登は、いじめをやめさせる代わりに、「小説の朗読をして欲しい」と、一風変わった提案を一真に持ちかける。
 実は登には「小説を書きたい」という野望があった。ところが、登はディスレクシア(読字障害)で幼いころから自由に読み書きができなかった。しかし、登には一度聞いた物語は一言一句忘れない特技があり、頭の中に湧き出すストーリーを生かして作家になることを目指していた。そこで、一真に小説を朗読させてコンビで作家になることを目指そうとしたのだ。
 はじめは嫌々だった一真だが、たくさんの小説をふたりで読むうちに、「面白い小説を創る」という想いが加速していく。ひきこもりの同級生かすみという読者も得て、とうとう念願の作家デビューを果たす。映像化もされて売れに売れたが、とある批評家に目を着けられて散々にこき下ろされたり。
 負けじと奮起した次回作だったが躓いた。連載作品はプロット通り進まず暴走に暴走を重ね収拾がつかず、だが面白い。登は母親の借金と弱っていく祖母の看護を背負い、闇金回収の手伝いや漫画原作にも手を出す。それはやがて、コンビの崩壊に繋がって行く。…

 熱い友情と挫折を描く、渾身の青春物語。書き下ろし。            (出版社紹介文に付け足しました)


 う~ん、凄ぇ。二人の読んだ小説を、私ほとんど読んだことがねぇ(爆!)。
 久保寺さん、久々の新刊。新聞の書評等がかなり評判よかったので、期待して読みました。
 面白かった。ぐんぐんと読めました。久保寺さんの作品て細かい所でとことん好きになれない感じがどうしてもあって、今回もそれを感じつつ、でも物語が暴走する感じとか、週刊少年漫画とかで話が膨らんで、面白いんだけど風呂敷がたためず先細りになる数々の作品を思い出したり(苦笑;)。
 最後に出てくる「どこにも行けない少年」の話、ってのは久保寺さんのデビュー作『みなさん、さようなら』に繋がるのかな。担当編集の久間さんが何気にいい味出して、好きでした。
 未成年に平気で飲酒を進めるあたりとか今では考えられない描写ですよね。
 表紙イラストが小畑健ですよ、『バクマン。』ですよ。そりゃ、集英社ですしね。