読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

地に埋もれて あさのあつこ著 講談社 2006年

 目覚めた時、優枝は土の中にいた。一緒に死のうと約束した筈の恋人・日出彦に埋められたのだ。彼女を掘り出して救ったのは、白兎と名乗る少年。白兎は優枝に、日出彦に復讐するようけしかけるが、優枝には何故かそんな気が起きない。マンションに戻った優枝に電話が掛かってくる。郷里にいる弟からで、母が余命幾ばくもないので会ってやって欲しい、とのこと。母とは優枝が幼い頃出ていったきり、会ったことがなかった。優枝はカバン職人である父が作った旅行カバンを手に、郷里へと戻る。思い起こされる17歳の優枝を襲った記憶、瀕死の母との邂逅。女としての母を理解し、優枝は日出彦を、憎むほど愛していなかったのだと気付く。…

 「透明の旅路と」と同シリーズ。但し、重なる登場人物は白兎のみ。「不思議な少年」と同じような感じなのかな。
 日出彦の造型「自尊心だけが肥大し、世間を知らず、他者と対等に向かい合う能力も、己の過ちを認める気概にも欠けた」っては自分の事を言われているようで胸が痛かったです(笑)。母が出ていく時庭の紫陽花の花を全て落として行った、って言うエピソードは妙に怖かったなぁ。
 あさのさんの作品の中では一番好きかもしれない。何か、誰かが映画にしそう。綺麗な映像で。
 …でもやっぱり私、あさのさんの文章は句点の位置に違和感あります;