読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

だから見るなといったのに―九つの奇妙な物語― 恩田陸・芹沢央・海猫沢めろん・織守きょうや・さやか・小林泰三・澤村伊智・前川知大・北村薫 新潮文庫NEX 2018年

 ホラー短編集。ネタばれになってるかも、すみません;

 色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。
 あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身……。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。        (裏表紙紹介文より)

 あまりりす/恩田陸
昨年亡くなったK大学教授を偲ぶ会にて。教授は郷里のお祭りに参加して、事故に会ったらしい。会が進み、酒量が増えるにつれ、参加者の口が軽くなる。主催者の教え子が問うままに、「あまりりす」の名前が出て来て…。

 妄言/芹沢央
郊外に念願のマイホームを買った。理想以上の物件が見つかった、と喜んでいたが、隣人の虚言に悩まされることになる。あらぬ浮気の密告に妻との仲が悪くなり、挙句に流産まで。隣人は自分が人を殺したのを見た、とまで言い出す。

 破落戸の話/海猫沢めろん
夏の夜、久しぶりに会った友人から聞いた話。
沖縄のユタだったいう彼の祖父から、友人は多くの体験を得た。シーモンキーの話、万引きした後鬼に咎められた話、「動物を大事にしろ」という話。また、彼自身も不思議な体験を数々していた。

 とわの家の女/織守きょうや
「とわの家」という置屋の女に恋をしてはいけない、と言われた。だが、住野は糸香と恋に落ちてしまう。全てを失っても構わない、と思えるほどの。

 うしろの、正面/さやか
連作イラスト。

 自分霊/小林泰三
大学に受かったことで、赤坂稟奈はどうやら燃え尽き症候群に陥ってしまったらしい。バイトにあけくれ、遊び倒して自堕落な生活を送る日々。やがて、一人暮らしの部屋に白い塊が出始める。確かに、何か曰くありげな安さだった。塊は彼女に、このままでは駄目になる、と生活の改善をするよう告げる。

 高速怪談/澤村伊智
東京から大阪まで、初対面の4人で車に乗りあわせて帰省することになった。車内はやがて怪談大会になり、悪ふざけも過ぎるように。

 ヤブ蚊と母の血/前川知大
十歳の時、アユムの母親はいなくなった。何もしない父親の元、アユムは母の残した家庭菜園で野菜を作り始める。

 誕生日 アニヴェルセール/北村薫
太平洋戦争下、侯爵家の双子の弟として自分は生まれた。兄は頑強な帝国軍人、だが自分は生まれつき病弱で、鎌倉の別荘に疎開している。自分と兄の、寿家と輝美と言う名に隠された意味に、ある日気が付く。…


 恩田陸さんの名前につられて読んだ一冊。
 面白かったです。ほぼ読んだことがない作家さんの話ばかりだったんですが、どれもハズレなかったなぁ。いや、気味悪いのはあったんですが、まぁホラーですし(苦笑;)。
 『妄言』のSFに絡めたようなオチは、素直におお、こんな組み合わせある、と感心ました。そうか、こういうので「この作家さんのも読んでみよう」とか思わされてしまうのね(笑)。