読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

君のクイズ 小川哲著 朝日新聞出版 2022年

 生放送のクイズ番組『Q-1グランプリ』。最終決戦で、「僕」三島玲央は本庄絆に負けた。最後の問題、本庄絆は一言も問題が読まれていないうちにボタンを押し、正解を導き出していた。
 他の出演者が「ヤラセだ」と抗議する中、三島は冷静に番組を見返す。自身の回答も含め、問題を一問ずつ精査する。何故本庄はそのクイズが出ると判断し、正答することができたのか、そこまでする必要があったのか。本庄の生い立ちやそれまでのクイズ履歴、放送されなかった過去問まで調べる三島。やがて、出題の意図、流れのようなものに気付き始めた。それは本庄だけではなく、三島自身のこれまでの人生も振り返るものだった。…

 『アメトーーク!』で紹介されて、気になった本。
 面白かったです。先が気になってぐんぐん読めました。後ろの頁を読んでしまいたい衝動を抑えるのが大変でした(苦笑;)。
 元々クイズ番組自体は好きでよく見ています。「クイズに答える」知識を身に着けるだけではなく、技術まで磨く。傾向と対策、その裏側まで。
 三島が辿り着いた解は、どこまで異端と見るべきか。「このクイズ番組なら回答はこのレベルだよな」「踏み込んだ内容には行かないよな」逆に、「こんな単純な答えではない筈だよな」みたいな穿ったことは、視聴者である私でも考えるので、それをプロのプレイヤーである本庄が突き詰めると「傾向と対策」のレベル内に入るのではないかしらん。…と思ってたら最後にもうひと捻りありましたね(笑)。
 三島のクイズへの純情、純真は踏みにじられたことになるんだろうか。それで食っていこう、と思ったら企画者を超える発想は必要かも、掌の上で踊るのではなく。本庄を否定する気にはとてもなれなかったです。