読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ぼんくら 宮部みゆき著 講談社 2000年

 ネタばれあります、すみません;
 連作時代小説。出版された当初読んでいた筈なんですが、この間続編「日暮らし」を読んだら、前作の内容をすっかり忘れていたことが判明。もう一度読み返しました。

 深川の鉄瓶長屋で、八百屋の跡取り息子・太助が殺された。妹のお露は「殺し屋が来て兄さんを殺した」と繰り返す。調べていくうち、本当の犯人はお露らしいと判って来たが、太助が寝たきりの父親を手に掛けようとしていたことも判明。お露の嘘を守るため、差配人の久兵衛が「自分に恨みを持つものが誤って太助を殺した」「これ以上皆に迷惑掛けられない」との書き置きを置いて行方をくらます。…『殺し屋』
 桶職人の権吉は博打に狂い、とうとう娘・お律まで借金のカタに売り飛ばす算段をする。父親の為に岡場所へ行こうとするお律に、鉄瓶長屋の新しい差配人になった佐吉は、「あんたの気持ちが済むようにすればいい」と注進する。…『博打うち』
 鉄瓶長屋に男の子が迷い込む。口をきかない子供の身元をようやく突き止めてみれば、長屋で所帯を持っている通い番頭・善治郎が、以前情を交わした女中の子・長助だった。善治郎の今の女房や子供は、店の主人のお手つきを押しつけられたものだった。…『通い番頭』 
 幸兵衛長屋からおくめと言う女が移ってくる事になった。おくめが春を売る商売をしていた事から、煮売屋のお徳はおくめが気に入らない。それでも気のいいおくめは徐々に長屋に馴染んでいく『ひさぐ女』。
 長屋の手間大工・八助一家が壺を拝む「壺信心」にはまってしまった。いい気はしないながらも害がある訳ではないので、佐吉も見廻り同心・井筒平四郎も口出しできない。暫くして、壺信心にはまった三家族が揃って姿を消す。…『拝む男』
 櫛の歯が欠けるように、鉄瓶長屋の住人が減って行く。自分が至らない所為だと落ち込む佐吉。不審に思った平四郎は、長屋の地主・湊屋総右衛門を調べ始める。やがて、20年前に総右衛門のお内儀おふじと佐吉の母親・葵の間に諍いがあり、その現場が現在の鉄瓶長屋であった事が判る『長い影』。
 鉄瓶長屋を出ることになったお徳が家移りの支度をしていると、四十過ぎの美女がこっそり長屋の様子を覗き見している。誰何するお徳に女は、自分は幽霊だと名乗る『幽霊』。
   
 「日暮らし」で判る事実も突き合わせて読むと改めて面白かったです。湊屋の娘・みすずなんて、こちらの作品だけ読むととても可愛らしい娘なのに、次作では何となく憎まれ役になってるし、反対に葵の造型はこちらの方が憎たらしい。弓之助やおでこの可愛らしさは変わりませんね、さすが宮部さん(笑)。
 平四郎の細君が語る「美形故の悩み」なんてのは、贅沢極まりない悩みだと私なんか僻んでしまいますわ(笑)。
 それにしても、本当に忘れてたなぁ。読み始めたら思い出したのもあったんですが、情けない話です;