読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

四色の藍 西條奈加著 PHP研究所 2011年

 ネタばれになってるかも、すみません;

 藍染屋紫屋の主人茂兵衛が殺された。新しい濃藍の工夫ができた、と藍玉問屋の阿波屋八右衛門のもとを訪れた帰り、後ろからばっさり斬られた。お上は首を吊って死んでいた八右衛門が下手人だと断じるが、おかみの環は納得しない。同じ藍染屋の東雲屋主人三左衛門が下手人だとにらみ、尻尾を掴もうと東雲屋に通う。やがて環の元には、同じく東雲屋所縁の者に因縁を持つ者が集まりはじめる。
 阿波から下って来たという武士・蓮沼伊織は、東雲屋に匿われている元同僚に兄を殺されたと言い、料理屋で働くお唄は、東雲屋に雇われているごろつきに、借金のカタに売り飛ばされた過去があった。
 洗濯女の老女・おくめの協力も得て、環は東雲屋の身辺を探る。やがて伊織の故郷、四国阿波での葉藍の横流しの容疑が、阿波屋にかけられていることが分かって来た。伊織の兄の殺害や、江戸詰老中の権力争いも絡んで事は大きくなりそうな気配、折しも東雲屋から発表された濃藍の染め物は、茂兵衛の遺作の手拭いとそっくりの色合いである。東雲屋はどちらにも関わっている可能性がある、と環は同心・山根森之介の協力も得て、茂兵衛殺しの決定的な証拠を得るため、東雲屋への手入れにまで漕ぎつけた。
 手入れ前日になって、東雲屋三左衛門を環は訪れる。いよいよ真相が明かされようとしていた。…

 西條さんの専門職シリーズ(←本当かよ;)。
 連載物だったのかな、何かと繰り返しの記述が多いな、と思ってたら実際「WEB文蔵」に連載されてたみたいで。一冊にまとめる時に添削すればいいのに、とちょっと思ってしまいました。
 伊織がとにかくカッとなり易い性格で、読んでてちょっと首を傾げました。…いや、もうちょっと冷静にならないと、仇の相手逃げちゃうよ; お唄の情の深さも、そういう人いるんでしょうけど、何かやるせなくて共感しにくかったし。
 真相としては、おくめがぽつぽつとこぼす身の上話から多少は察しが付いてしまいました。茂兵衛の死因が刀傷ですもんね、刀持ってる人、となるとどうしても限られますし。
 すらすらとは読めたのですが、可もなく不可もなく、と言う感じ。面白いことは面白かったのですが、やっぱり『恋細工』の方が個人的には好きだなぁ。これは扱っている題材の好みかもしれませんね。