読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

落語魅捨理由(ミステリ)全集 坊主の愉しみ 山口雅也著 講談社 2017年

 落語を元にしたパロディミステリ集。

 坊主の愉しみ
『猫の皿』から一捻り、賭け事好きな坊主は店主の口車に乗って、ライター連続10回点火に挑戦。『時蕎麦』もちらっと混ざりつつ、さて、坊主は店主に勝てるのか。

 品川心中幽霊
『品川心中』に続いて、女郎の渦巻を懲らしめようと計画する道絡と棟梁。生きていたうっかり八兵衛を幽霊に仕立てて渦巻の前に登場させるが、八兵衛はやっぱりうっかりもので…。

 頭山花見天狗の理
『花見の仇討』と『頭山』を組み合わせた一編。

 蕎麦清の怪
『そば清(蛇含草)』を下敷きに、その草の効き目を確かめようとした道絡は、猫に草を飲ませてみることに。

 そこつの死者は影法師
粗忽長屋』を元に、八兵衛とそっくりな死体の正体を探る道絡さん。最大のヒントは八兵衛の名前にあった?

 猫屋敷呪詛の婿入り
魯鈍で有名な与太郎が婿入りすることに決まったが、その相手は猫柳屋敷のお嬢様。今まで二人の婿を取り、どちらも早々に自害したり気が触れたりとかなり悪評が立っている。大量にいる飼い猫の中に、どうも化け猫が交じっているらしい。

 らくだの存否(ゾンビ)
『らくだ』より、河豚毒に当たって死んでしまったらくだの葬式代をたかろうと、長屋の面々に声をかける匕首の兄貴と屑屋の太助。所がどうも皆さんも、お相伴に預かったらしく…。


 新聞の書評に載っていて、興味を引かれた一冊。
 『猫屋敷』以外は私でも知ってる話でしたので、有名どころばかりをネタにしたんだろうな、と思いつつ。「密室」なんて概念を落語に持ってくるとはねぇ(笑)。
 「だって落語じゃん」というようなつじつまの合わなさを、理詰めで考えてみました、という感じ。でも勿論、おふざけも入っているのですが。だってゾンビなんて出てくるもんねぇ。
 改めてみると幅広いよなぁ、『頭山』なんてSFだし、『蛇含草』はホラーだし。『粗忽長屋』を哲学と捉える人もいましたっけ。
 そうそう、猫アレルギーが江戸時代から知られてた、ってのは意外でした。…ええ、私もそうです。