読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

ほんたにちゃん 本谷有希子著 太田出版 2008年

 これはエッセイなのか、小説なのか…。
 ネタばれなのかな、すみません;

 19歳の「私」は石川県から東京へ出て来て、写真の専門学校に通っている。「自分は他人とは違うんだ!」と思い続けて幾星霜、立派に育ちあがった自意識と過剰なプライドが自分自身をがんじがらめにしていると、気付いてはいるが抜け出せない。
 飲み会で知り合った大物イラストレーター・野次マサムネに「モデルにならないか」と言われ、自分は特別な人間であると見初められたのかと自惚れ、いやそんなことはないと戒め、結局野次に底の浅さを見抜かれた「私」は決死の再戦に挑む。
 かくて、「馬鹿にした相手に欲情したおっさん」に相手を貶めようと、「私」は鍋の材料を手に、野次マサムネの部屋を訪れた。…

 ああ、痛いよ痛いよ、笑えないよう;;
 誰だって若い頃にはあるんだよ、選民意識みたいなものがさ、「あがぁぁぁ!」って布団の上でのたうちまわって恥ずかしがるような自意識過剰な過去がさ。
 自分の不始末まで思い出すようで、なかなかいたたまれませんでしたよ(苦笑)。
 でも何故か妙に読後感がよかったのは、次の一節があったからかもしれません。
 「私はこんな、狙いまくりなのに滑るような人工的な女じゃなくて、純粋な『天然』の人に生まれたかったんだ!」
 うん、天然いいよね、羨ましいよね。でも私は職人さんも好きだな。金より銀、さらにいぶし銀だよ。ただ、職人さんになるにもセンスが必要で、センスは磨くものだから結局生まれつきのものなんだな、と無難に木目調の家具を選んでしまう自分の部屋を見渡して思うのでした。
 とりあえず、野次さんと何もなくて(と言っていいのか)よかった。これで本当に何かあったら、こんな風な洒落にもならない所でした。自分は大事にした方がいいです、はい。
 それにしても、なかなか電車の中で読み辛い装丁でした(笑)。イラストはOKAMAさん、Mっちゃん確か好きなイラストレーターさんだったよね。うん、独特(笑)。