読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

恋細工 西條奈加著 新潮社 2009年

 西條奈加、デビュー4作目。
 ネタばれあります、すみません;

 四代続いた錺職・椋屋にはざっと百年の歴史がある。春仙の名を継いだ四代目・宇一は34歳の若さで身罷り、後継者選びを義妹・お凛に託す。候補者は全部で5人。三代目からの弟子、職人頭の留五郎はじめ四代目の弟子4人の他、質素倹約を旨とするお上の意向に逆らって豪奢な細工を作ったかどで手鎖にあった渡り職人・時蔵が宇一に指名された。自分の技を磨くばかりで協調性のまるでない時蔵は、周囲の職人たちといさかってばかり、お凛も気苦労が絶えない。だが細い銀線を捩って細工を作る「平戸」の技術はさすが四代目も認めたもので、お凛はいたく刺激を受ける。その感動はやがて恋心にもなっていく。
 お凛は女だてらに自らも細工を作っていた。生来のセンスのよさに新しい技術を得て、幼馴染で評判の小町娘、生駒屋のお千賀も目を見張る錺を意匠する。だが水野忠邦が老中となり、町民の贅沢品が事細かに禁止されていくに従って、職人の鬱憤はたまり、椋屋の身代も徐々に危うくなる。
 いち早くお上の意向に従った生駒屋への庶民の風当たりはきつく、そこに錺を納めている椋屋にも嫌がらせが続く。お千賀は一計を案じ、椋屋に神田祭の山車錺を、総銀で作るよう発注する。
 大きな仕事を前に、初めて時蔵と他の職人とが一つになった。お凛の意匠が各職人の得意技で見事形になったのはよかったが、贅沢品を作ったその咎を一身に受けたのは時蔵だった。
 時蔵は帰って来なかった。椋屋へ来る以前の因縁が崇り、牢屋敷で殺されてしまった。5代目春仙を打診されたお凛はそれを断り、さらに平戸の技術を磨いて、時蔵が牢で描いたと言う図案の香炉を仕上げる。時蔵が見たがっていた陽の沈む海を見せたいと、出羽秋田久保田藩へと納める。…

 …面白かった!
 元々小さな細工物が好きです。NHK美の壺』の第一回、「根付け」がどれだけ楽しかったか。海洋堂のフィギュアも好き。ドールハウス、鉄道ジオラマ模型、帯留め、見てるだけで幸せ。もう題材だけで心を鷲掴みされました。
 お凛の作った錺見てみたいなぁ。蜻蛉と垣根の市松模様、野菜籠、羽根つきする大黒様と亀。絶対可愛い筈。
 江戸時代のデザイナー、流行を作るカリスマ店員、職人(アルチザン)と芸術家(アーティスト)。互いに高めあったり反発しあったり、この関係が凄くいい。特にお千賀ちゃんはオトコマエで、もうかっこいい!の一言でした。クライマックスに少しどんでん返し、結構予定調和な話だと思ってたので少々びっくりしました。
 エピローグが少しくどかったかな、とは思いましたが十分楽しかった。西條さん、やってくれたね!