読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

千年の時の彼方に 沢村凛著 学習研究社エンタティーン倶楽部 2009年

 『千年』シリーズ、完結編。

 「だいじなものを守るには、どうしたらいい?」
 友達の弟・冬馬の言葉に驚く静枝。健太は調子に乗って「男なら戦って守れ!」などとアドバイス、真に受けた冬馬は硬貨を詰めた靴下やバットなど、武器を用意し始める。どうやら自分達の遊び場・青空公園へやってくる隣町の子と、決闘をはじめるつもりらしい。千年前の幽霊少年・マコマは、何故その子供たちが公園に来るようになったのかと問いかける。‥「かわすにも ゆきはふれれし…」
 
 席替えで隣の席になった葵は、人によって言うことがくるくる変わる。何だか嫌だな、とマコマの相談する静枝。でもマコマはくすくすと笑うばかり。マコマを理解できない静枝は、神主さんから物の見方の違いを教えられる。‥「ならやまの このてがしわの…」

 お父さんが、静枝と夏実におみやげをくれた。姉の夏実にはマガモの、静枝にはウグイスの人形。お互い相手の方が欲しい、と思うのにお父さんは交換は駄目だ、と言う。‥「はるされば こぬれがくりて…」

 夏実の学校の青柳君が、銃で撃たれて死んだ。猟師の流れ弾に当たった事故とされたが、納得できないクラスメイトがいる。何故なら青柳君は両親を事故で亡くして、莫大な遺産を相続したばかりだったから。だが青柳君の財産を狙った殺人なら、同じ服装、同じ坊主頭の生徒の中からどうやって彼を特定して撃てたのか。マコマがヒントになる歌をうたう。‥「たそかれと とわばこたえむ…」「いろふかく せながころもは…」

 マコマが現れる時間が少なくなっている。もうすぐ消えてしまうのかもしれない。そんな不安を抱いていた矢先、神主さんが古い文献を見つけて来た。どうやらマコマはその才能を妬まれ、千年前に呪いをかけられたらしい。静枝は健太、美和と一緒に、マコマにかけられたのろいの歌をさがす。それは、マコマを元の時代に帰すこと、二度と会えなくなることを意味していたけれど。‥「わがかたみ みつつしぬばせ…」

 いつの間にやら三巻目が出てたのね~。児童書の類はチェックが疎かになりがちです。
 とうとう殺人事件まで起こった最終巻、この推理はちょっとなるほど、と思いましたね。で、このラストは最初から一応考えてたんだろうなぁ、少しあっけない気はしたけれど。
 竹岡美穂さんの挿絵も相変わらず可愛らしい、素直に読める作品でした。