読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

エッジ 上下巻  鈴木光司著  角川書店  2008年

 世界各地で失踪事件が頻発している。
 自身も父親が失踪した過去を持つ栗山冴子は、その時のノウハウを持って現在起きている失踪事件のルポを書いていた。今回扱うのは高遠郊外にある藤村一家失踪事件。借金もなくカルト集団ともかかわりがなく、その瞬間まで明らかに日常生活を過ごしていた一家が何故消えてしまったのか。彼女のレポートは評判になり、テレビ番組の取材スタッフにブレインとして抜擢される。取材で訪れた無人の藤村家には、何故か冴子の父・栗山眞一郎の失踪直前の手帳があった。
 各地で起きた多数の事件はどれも、活断層の上に位置している。太陽の黒点が異常活動し、πの小数点以下50億桁以下に0が続き、やがて熱海のハーブ園で91人もの観光客が跡形もなく消えてしまった。同じような現象は世界各地で起きているらしい。
 世界は相転移により消滅しようとしている。助かるにはワームホールから次元を超えるしかない。そのポイントは行方不明者が頻発した地域、ハーブ園や藤村家である。ハーブ園にはいち早く情報を手に入れたテレビスタッフの親族等が集まり、その数はマチュピチュで見つかった四肢を切断された遺体の数と一致した。冴子は藤村家で、父親の失踪の理由とその後の姿を知る。…

 どうしたんだ、鈴木光司
 お金だけはつぎこんだ、無茶苦茶つまんねーハリウッド映画みたいだったぞ!(←暴言)
 鈴木さんはデビュー作から追いかけています。『楽園』にしろ『リング』シリーズにしろ、三部目が弱い人だなぁと思いつつ、文科系の人が体育会系に目覚める話が多いなぁとも思いつつ。基本的にはどれもお父さんやお母さんが体を張って家族なり子供なりを守る話で、この姿勢が変わらない限り、この人の作品は好感を持って読むだろうな、と思っていました。
 前回の短編集辺りから「…あれ、何だかスタンス変わって来た??」とは思っていたのですが、今回の羽柴の態度にはちょっとびっくり。…いや、奥さんと子供放っとこうとか一瞬でも思っちゃうの? 鈴木さんの作品で?? 最後の最後でほんの少し持ち直して、やっぱり父親が娘を守る話にはなりましたが。
 こう言うトンデモ系の話としては、私は高橋克彦さんの『総門谷』とか『龍の柩』くらいしか読んでないのですが、高橋さんの作品の方が断然面白かったなぁ。あのくらい溢れる知識を浴びせて圧倒してくれないとねぇ、とんと馴染みのない数学理論だけではちょっと…; いや~、飛ばし読みしました(苦笑;)。