読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

雪の鉄樹 遠田潤子著 光文社 2014年

 母は失踪。女の出入りが激しい「たらしの家」で祖父と父に育てられた庭師の雅雪は、両親を失った少年、遼平の世話をしてきた。
 しかし遼平の祖母は雅雪に冷たく当たり続ける。雅雪も、その理不尽な振る舞いに耐える。
 いったい何故なのか? そして14年前、雅雪が巻き込まれた事件の真相は?
 耐え続ける男と少年の交流を軸に「償いと報い」を正面からとらえたサスペンス
                                            (帯文より)

 何しろ出たばかりの本なので、粗筋細かく書いてネタばれするのもはばかられまして;
 とか言いながら、粗筋書いたからって全然大丈夫な気もしないではないのですが。
 愛情を受けることなく育った男と、やはり報われることなく育った女、歪んだ愛情を受けて育った男(少年や少女、ではないんだよなぁ)。寄り添うことでお互いの欠落を埋めようと漸く決意した矢先、その父親、母親の、やはり歪んだ愛憎に巻き込まれ、全てが崩れてしまう。
 遼平に語られる過去の中、でもこの人間関係で遼平はどこで出てくるんだ??と思ってたら何か結構いきなりな感じで登場してきました。…こりゃ確かに、雅雪は直接関わってないわ。
 家族関係に問題がある人物達が、血の繋がりがなくても、お互い支え合って生きて行こうとする、というのはこの作家さんのテーマの一つでもあるのかな。相手を思うことで、自分も報われる。でもそれは自己満足との境界が難しい。遼平の祖母にもそこを突かれる訳ですが。
 リーダビリティは相変わらず、ぐんぐん読めました。…辛くて暗かったけど(苦笑;)。