読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

エンゲージ いくえみ綾 集英社文庫 1997年

 初出は1984年から1985年。
 ネタばれになるのかな、なる気がするな、すみません;

 高3の千絵は隣に住む正雄に5年間も恋しているが、可愛い妹の様にしか思って貰えない。一方、正雄のの弟・良雄は密かに千絵のことを想っていた。そんなある日、正雄の突然の結婚宣言によって3人の微妙なバランスが崩れ始める。
 正雄の婚約者・律子は色々千絵と接触しようとするが、千絵にはとても受け入れられない。苦しむ千絵に良雄は手を差し伸べようとするが、彼自身も千絵の身代わりのようにして付き合っている彼女との間がぎくしゃくしている。何とか気持ちにけりをつけようとしている矢先、律子が交通事故に遭って死んでしまう。
 律子の死に涙を流す千絵。だが心の中には、律子がいなくなったことを喜ぶ醜い自分もいた。止まらない想いを正雄にぶつけ、千絵は故郷を離れて東京の大学に行くことを決める。…
 
 結構ハードな内容で驚きました。兄さんが駄目なら弟とくっつくとか、兄さんの恋人が死んだから恋仲になれるとか、そんな単純なものではなかったので。
 どうしようもない想いを誰もが抱えて、何が起ころうともどうにもならない。千絵にとっては元々無理な相手だった上、死人には絶対勝てないし。その上、自分の醜さも自覚するハメに陥るし。
 いや、思春期の少女をなめちゃいけませんな。このごろの少女漫画の方が、こういう機微は描いてない気がする。関係はすぐ持っちゃうかもしれないけど(苦笑;)。